大鷲と香芽

例えばオレが消え失せて、あんたの前からいなくなったら


あんたは泣いて、オレの帰りを望んでくれるかな。


部活途中の休憩時間、ひとり考える。

何故と聞かれたらそれでおしまいな事。

例えばの話

ifの話



座って休憩しているあいつに近づいた。

「大鷲」

「はい、なんです?」

「何となく、呼んでみただけ」


不思議そうな顔をしている。

まあ当たり前だろうと思った。


でも、気付いて欲しかった。


「大鷲」

「はい?」

「……」


どうしました?と心配する声。

オレは何でもないとだけ言ってその場を去った。


気付いて欲しかった。


オレが本当は実に臆病で、例え話一つ考える度に不安になり、恐怖する事に。


自分が消えるのは構わない気がした。

問題はそこじゃない。


「……」

涙など流さないかもしれない。

帰りなんて望んでくれないかもしれない。



オレは実に臆病で、それを隠すのにいつも必死で。

でも誰かに気付いて欲しくて。


ああ、矛盾している。

なんともオレは、矛盾だらけの惨めな道化だろう。



またひとり、くだらない事を思想する。


背後から近づく人間の存在に気付くのは、大鷲に肩を叩かれてからだった。



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ナイーブレオン君

しょうもない事を考えてはひとりで悩んで、周りの子達に心配されてそうな感じする

考える事がどんどん路線変更していく感じもする←

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