照美と啓 「神さま、神さま、お願いです」 掠れた声が、寂れた祭壇に木霊している。 僕はそれをただ見つめていた。 藤色の瞳は、どこにいるのかも分からない"神"を探してさ迷う。 その瞳は僕に向けられる。 「神さま、神さま、 オレに力をください」 「勝たなきゃいけないんです」 「知ってしまったんです」 「キャプテンを、たすけたい」 「神さま、」 「……啓」 神さま、儚い藤色はつぶやく。 僕はもう神ではない、そう言いきれてしまえたら、どんなに簡単だろうか。 それができないのは、ただひたすらに、 ただひたむきに、僕という存在を信じる、たったひとりの人間がいるから。 神さま、再び藤色が呟く。 僕はもう神ではない。 だけど、キミのそばで寄り添う存在にはなれる。 ……そうだよね?啓。 僕は何も言わずにその背中を抱いて、彼が仲間に呼ばれるその時まで、 ずっとずっと、寄り添っていた。 ______________ 剛がダークエンペラーズだと、いち早く啓が知ってしまった、 みたいな妄想 照啓も好物 <<||>> |