不動と佐久間

じろーちゃん


じろーちゃんはオレの大事なオモチャ

だった



オレが一言つぶやけば、弾かれたようにつっかかってきて、言い返したらふきこぼれたやかんみたいに怒る

その反応が愉快で愉快で


あの石の力に魅せられた後は愉快と言うよりも、満足してた

じろーちゃんは常にオレの隣で上辺だけの笑みを浮かべて立っている

ああ、こんなにいとおしい、

オレの下僕さ、オレのオモチャさ



なのに何でだ

オレ達は負けた

オレの出世街道も満たされた独占欲もみんなオジャンだ

挙げ句の果てには2流呼ばわりだ、糞

何が本当のサッカーだ

何が満足だ

そんなに鬼道ちゃんがいいのかよ、そうかよ


そうかよ




「不動!皇帝ペンギン3号の練習だ、もっと鋭さに磨きをかけよう」

「……」

「不動?」

「ああーはいはい、すぐ行くから」


じろーちゃん、あんたは分かっちゃいねえんだ

全て分かり合えたってカン違いしてんだ

みんなみんな、理解なんかしてねえんだ


「……」


いつだってオレは考えてんだ


「なあ、じろーちゃん」

「何……!?、なにす、」


オレはあの頃に戻りたがってんだ


狂ってるとか、馬鹿げているだとか、なんとでも言うがいいさ

オレは一向に構わないんだぜ?


「じろーちゃん」

「帰ろうぜ」



「楽しかったあの頃によぉ」


さあ、こんなフィールド逃げ出して海に飛び込もう

あの頃はきっとすぐそこにある




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気持ち悪い不動とただの被害者

友達に捧げます、こんな気持ち悪いの捧げて良いのかと聞かれるといけない気もする←



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