源田と佐久間

夢をみた

俺はひどく憂鬱な気分で、しかし強さに狂っていて、鬼道さんを傷付けて、自分も傷付いて、ひどく後悔して、

自害しようとしたら、誰かの手がそれを阻止する

そんな夢


吐き気がした



「佐久間、大丈夫か?」

シャ、とカーテンの放たれる音と共に現れたのは源田だった

心配そうな表情を浮かべて、ベッドに寝転がる俺を見下ろしている


ここは保健室の端

今の時間帯は先生が会議中で、いるのは俺とこいつしかいない


「…大丈夫だ、少し眩暈がしただけだから」

「だがお前、倒れたって」

「膝をついただけだ」

本当は派手に倒れたんだが


全部あの夢のせいだ

でも悪夢をみて倒れたなんて、口が裂けても言えない

プライド的にも言えないし、何よりこいつに心配をかけたくなかった


「……、」

「眠れないのか?」

「いや…」

「じゃあ、眠れるまで俺が子守歌を歌ってやろう」

「馬鹿、」

「冗談だ、」


俺はいつの間にか微笑んでいて、源田が笑わせてくれたんだと遅れて気付いた


ああ、気を使わせてしまっている


「……、」

「…どうした?」

優しげで、落ち着いた声が鼓膜に響く

振動が心地良くて、余計に胸が締め付けられた

こいつに心配かけたくない、

でも、変に口を噤んで、気を使わせたくもない


俺は葛藤していた



「…佐久間」

名を呼ばれ、源田の方を向いた

不意にだったから、相当間抜けな顔をしていたと思う


ぽん、
源田の硬くてごつごつした暖かい手が、俺の頭に乗せられた

そのまま2度3度、優しく撫でられる

不意打ちすぎて、思わず頬を染めた


「な、何」

「…お前が何を塞ぎ込んでいるのかは、俺には分からない、けど」

すう、と一呼吸おいて、源田は呟いた


「佐久間、俺はいつだってお前と一緒だ」

「辛い時も、泣き出したい時も、そばにいてお前を支える、だから」


「そんなに悲しそうな顔をするな…」

「……っ、」


頭におかれた手が暖かくて。声が鼓膜に響いて、

俺は泣いていた


程近くにいる源田を引き寄せて、服を握りしめて泣いた

源田はびっくりしたみたいだったけど、すぐに俺の背中をさすってくれて、余計に涙が出た



……

あの悪夢は、俺を限界まで落としたけど

こいつと、一緒だったら、

こいつと一緒だったら、例え正夢であろうと、


「…ありがとう、」

「ありがとう、源田、」


あいしてる




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甘々な源佐久、的な
友に捧げる乱文


悪夢は正夢になって、佐久間たちを真帝国に引きずり落とします

源田がなんちゃって源田になりすぎな件←



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