ちびっこ飲む




「ぎんたん、ぎんたん。」



何かを見つけたのか、台所の方からあゆみに呼ばれた。台所にいると、冷蔵庫に興味を示していた。
冷蔵庫を開けてやると、ひやっとした冷たい空気が出てきた。珍しかったのか、ひやひやーっと言いながら冷蔵庫の中に顔を突っ込んだ。おいおい、そのまま閉めちまうぞー…なんて。

俺は何だか急にいちご牛乳が飲みたくなって、いちご牛乳パックを冷蔵庫から抜き取った。すると、それに釣られたあゆみはいちご牛乳と一緒に冷蔵庫から出てきた。丁度良いので、パタンといつもの軽い音を聞きながら冷蔵庫を閉めた。


あー、やけに静かだと思ったらアイツらいねェじゃん。神楽は定春の散歩、新八はお通ファンクラブの用事でいない。



「ぎんたん、そりぇなぁーにぃ?」

「んー?これか?」



あゆみに指で指されたのは、俺が左手に持っているいちご牛乳だった。



「これな、銀ちゃんパワーの源“いちご牛乳”っていう飲み物なの。」

「いちごにゅーにゅー?」

「そうそう、あまーくて美味しい飲み物。銀さん、これがないと生きていけないからね。」



一緒に飲もうかと誘えば、凄く頷かれた。よし、これを飲めばあゆみも甘党の仲間入りだ。

二人分いちご牛乳を注ぎ、一つあゆみに渡す。ピンク色の飲み物を、まじまじと見つめるあゆみ。あれ?渡されたのに飲まない。え、いっちょ前に見た目重視ですかコノヤロー。

そんなあゆみを横目にしながら、俺は飲みたくて仕方がなかったいちご牛乳をごくごくと飲み干した。


あーっ!生き返る!!
流石いちご牛乳だ。


…あ。飲んでる。
地味に飲んでる。
しかも、何だか顔が美味しそうな顔してる。これ、さっきもなかったっけ?



「美味しいだろ?」

「うん、あまいのー!」

(キュン…。)



目ェキラキラ輝いて、満足そうで、凄い笑顔だった。
相当美味かったらしい。


あれ?今日何回キュンキュンしてんの俺は。

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