よろずや攻防戦




俺は、凄く良い感じに熟睡中だった。それは昨日、行方不明のあゆみが万事屋に無事帰って来たからだ。あゆみがいない間、俺はよく眠れていなかったらしく今日あゆみが傍で一緒に眠る事によって熟睡している。今日から、あゆみと幸せな毎日が過ごせると思ったのにそれを邪魔する奴がいる。それは、



「あゆみちゃーん、あーそびーやしょー。」



ピンポーンと、万事屋の玄関にあるインターホンを押してあゆみを呼んでいる。そんな声と音を聞いても、俺は布団を被り直し居留守を使う事にした。幸いな事に、あゆみはまだお寝んね中だ。まだ眠い瞼を無理矢理こじ開けると、そこには可愛らしい寝顔をしたあゆみがいた。その顔に安心して、瞼の力を抜き続いて身体の力を抜いて布団に沈んだ。

しかし、あゆみに用があるお客さんは居留守ぐらいじゃ利かない手強い相手だった。



「旦那ァ、あゆみ出さねェとこのバズーカーが唸りまさァ。」



その一言で俺は飛び起き、玄関まで走り戸を勢い良く開けた。一気に走ったせいで、ハァハァと息をするのが激しかった。畜生、もう歳かよ。え、つーか。



「大串くんもいたんだ。」

「誰が大串だ!土方だっつったら何回言えば良いんだよ、ああ?」

「聞いて下せェよ旦那。コイツ、あゆみと遊びたいらしいですぜ。」

「はぁ?」



ちなみに総一郎くんは、無理矢理休暇を取ってここに来たらしい。休暇を取ってきた割には、いつもの制服姿だった。つまり、休暇を取ったなんて嘘つー事だ。大串くんは大串くんで、そんな総一郎くんの後を追ったらここに来たらしい。しかし、どちらも目的はあゆみらしいけどな。



「あ、そう言えばあゆみはどうしたんでィ。」

「あゆみは只今お寝んね中です〜ぅ。だから、お前ら用がないならとっとと帰れっ!」



しっしっと出て行けという動きを付けながら、戸を閉めようとした。後もうちょっとで閉まり切るという所で、ガスッと何かが挟まった。見ると、総一郎くんの足と無理矢理腕を伸ばしながら手で戸を押さえる二人がいた。何なんだよ!どこぞの勧誘の人ですか!助けて、おまわりさぁーん!家に不法侵入で入ってくる黒い人たちがいますよー!って、コイツらが警察じゃねェかよォ!!



「オイオイ、警察が民家に無理矢理不法侵入キメこんできて良いんですかァ?」



俺もそれに負けないように、ガスガスと戸を閉める。と言っても、1対2じゃ辛いものもあるが俺は諦めずガスガス戸を閉めた。くそっ!ふんっ!ふふふ、ふんっ!!何この靴!?超硬いんですけどォォォ!



「旦那ァここで帰ったら、もう何もやり遂げる事なんて出来ないでさァ!」

「お前はいつもやり遂げた事なんてねェだろ総悟!」

「そりゃー心外ですぜェ、土方さん。もう少しでやり遂げられそうなのはありますぜェ。」

「な、なんだよ。」



大串くんに、ニヤリと不敵に笑う総一郎くん。思わず俺との攻防戦を一時中断して、ごくりと唾を飲み込みながら待つ。え、何この緊張感。つーか、お前ら一体何しに来たの?本当、あゆみと一緒にもう一回寝直したいんですけど。
たっぷり間を置き、再びバズーカーが登場した。



「土方コノヤロー抹殺でさァ!!!」

「てめェ!やんのかゴラァ!!」

「土方ァァァ!!!!!!」

「総悟ォォォ!!!!!!」



いつもの調子で二人は、騒がしく喧嘩を始める。俺の存在はお構いなし。そろそろ、下のババァがやんや言ってきそうだ。しかし、これではあゆみが起きる。俺も今日は目覚めが悪い。凄く悪い。だから、イライラが募るばかりで。



「静かにしないなら帰れェェェ!」

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