まい ふぉんでゅ とぅ ゆぅ それは、私にとって大事な日でもあり、私の大切で大好きな人が一番好きな日でもあります。それは、世界一甘い物を好む坂田銀時さん。その為に、チョコレートのお菓子を今まで懸命に万事屋の台所を借りて作っているのですが… 「はぁ…また失敗。」 私の目の前にある黒い物体は、上手に出来上がるとふわふわになりケーキの土台となるはずのチョコレートスポンジだった。私は、とことん甘い物を作ろうとケーキにしたのですが、これが全く上手くいかず撃沈。今日は、家で作るのには遠いし間に合わないと思い銀時さんたちがお仕事に行っている間に、留守番と称して台所を借りたのです。しかし、私は何度失敗したら気が済むのでしょうか。 これでは、銀時さんに渡すどころか何も渡せないではないですか!今私の目の前には、残りのチョコレートが湯銭の熱によってドロドロに溶けたチョコレートのみ。こんな状態で、お仕事から戻られたらどうすれば…。 「帰ェーったぞー。」 か、帰ってきてしまいました!ああああ、どうしましょう!どうしましょう! 「亜由美ー。何かすっごい甘い匂いしたり焦げ臭い匂いもするんだけど…って、何どうした訳?」 「あっ、あー…。お帰りなさい、銀時さん。あはっ、あははっ。」 見られた。嗚呼、もうおしまいです。こんな事なら市販の物を用意しとくべきでした。 …ううこうなったら! 私は、湯銭の中にあるボールを取る。そして、人差指をボールの中へと突っ込み。 「銀時さん、口を開けて下さい!」 「へっ?あ、あーん??」 パクッと、人差指に付けたチョコレートが銀時さんの口の中でだんだん溶かされてゆくのを感じる。銀時さんは、目を丸くしながら私を見ている。嗚呼やっぱり恥ずかしい!言えない!最終手段が、“自前フォンデュで私を貴方にあげます”だなんて!絶対言えません!!! と、とりあえず、アレは言いましょうか。 「は、ハッピーバレンタイン!」 私はそれだけ言うと、指を引っこ抜いて万事屋を飛び出してしました。銀時さんが、不敵な笑みをして言っていたなんて私は知らない。 (1ヶ月後、楽しみにしとけよ!) |