よろずや探す




「けぇったぞぉー。」

「あゆみー、ただいまネ!」

「ただいまー!」



俺たちは、少しボロボロになった姿で夕方に帰ってきた。そう、あゆみが待っている万事屋へと。しかし、部屋は静まりかえっていて暗くあゆみが居る様子は確認できなかった。暗くて何がなんだか分からないので、部屋の明かりを点けた。だが、そこで見たのは定春が何故か申し訳なさそうに、頭も耳も尻尾も垂れている姿だった。でかい図体の定春が、この時ばかりは一回り小さく見えた。

そんな定春の姿を見た俺は、急に嫌な予感が過ぎった。

すぐに、玄関を調べた。すると、あゆみの小さな靴がやはり無かった。異変に気づいた神楽と新八は、あゆみを探し回った。だが、万事屋にはいなかった。



「銀ちゃん、あゆみがいないアル。…どこ探してもいないアル!」

「銀さん、これ誘拐とかじゃないですよね?」

「…誘拐じゃねェとは思う。玄関に靴なかったし。」



静まりかえる俺たち。俺も完璧に動揺しちまってる。あんまりにも俺が真剣な感じになっているから、新八も神楽も何も言えずにいる。時計の音だけが、やけにカチコチと頭に響いてくる。あの時計、こんなに五月蝿かったっけ?

なぁ…何であゆみいねェんだよ。

俺たち、あゆみの事連れていきたかったけど、危険な目に合わせたくなかったから仕方なく留守番してもらったのに。
…何だよ、結局俺はっ。



「…私、姉御の所に行って姉御に聞いてくるアル!定春もネ!!」

「ワン!!」

「!っ、僕も下に行ってお登勢さん達に聞いてきます!!」



そう言って、神楽と定春、新八はあゆみを探す為に万事屋を出て行った。


…何で、あいつ等は強いんだろうな。俺だって、心配しているのに。早くあゆみを見つけて、安心したいのに。何で俺の体は動かねェ…!
あいつ等みたいに動けよ。動いて、あゆみを探せよ。





あゆみ…、今頃寂しくて一人で泣いてないかな。


嗚呼、違う。
泣いているのはあゆみじゃなくて、俺だ。

- 10 -