生まれ変わるなら




「生まれ変わるなら何になりたい?」



彼女はぽつりと俺に言った。
生まれ変わるって、俺らが死んだ後しか分からねェ事じゃないか。俺は、あまりそういうのは信じないタイプだ。もしとか何かになれるならってのが、もう無理前提として考えているから嫌いなんだと俺は思う。だけど彼女は、そういう類を信じるタイプのようだ。

彼女はお構いなしに一歩的に話を進める。



「私ね、鳥さんになりたいな。」



何で?と俺が聞く前に、亜由美はそのまま話続けた。



「だってね、鳥さんは自由に大空を飛べるじゃない。鳴き声だって可愛いし。」



そして、亜由美はそう思わないかと俺に同意を求めてきた。しかし、俺はそうは思わない。別に彼女の意見を尊重するしない関係なく、俺は説明しなければならないと使命感に駆られたからだ。



「あのなァ亜由美。鳥ってェーのは、まず飛ぶ為に自分を軽くしなきゃならねェーの。だから、何もかもスカスカな訳。脳みそもスカスカなんだよ。亜由美は、こんなのになりてェーの?」



別に夢を壊す訳じゃないが、亜由美がもし鳥になってしまったら実際はそんな感じな訳で。俺は、そんな姿の亜由美を見るのは真っ平御免蒙りたい。だから、そんな泣きそうな顔止めてくんない?まるで俺が泣かしたみたいじゃん。



「銀ちゃんの意地悪。」

「はいはい。」

「銀ちゃん夢がない。」

「はいはい。」

「……銀ちゃんになったらどうなるの?」

「はいはい…え?」



俺を言葉で一生懸命責めているのを、俺はそれを軽くあしらっていた。しかし、途中から責めている言葉ではなくなっていた。え、今本当何て言ったのこの子は。



「だから、銀ちゃんになったらどうなるの?」

「あ、俺?」

「そう、銀ちゃん。」



まさかの俺になったらどうだ、か。だれだ、こんな事亜由美に吹き込んだのは!銀さん嬉しくなっちゃったじゃないの。
俺になったらどうなるって?そりゃーお前ェ。



「銀さんと亜由美が合わさって、血糖値が高くなります!」

「変態。」



え。

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