線香花火




チリチリと俺と亜由美で、近くの河原で線香花火をしていた。線香花火の先っちょが落ちる度に、新しい線香花火を蝋燭の火にあてながらまた点ける。
その繰り返しをしていた。


チリチリ……



あ、亜由美のが落ちた。



「線香花火って、やっぱり儚いよね。」

「そんなの今更じゃねェか。」

「うん、今更なんだけどさ。」



そう言いながら、新しい線香花火に火を点けた。また、チリチリと火花を散らしながら光っている。それを先程と同じく、ただぼーっと見つめる亜由美。
線香花火の光に照らされる亜由美の色白の顔は、ぼわっとして見えた。すると、亜由美は線香花火から俺に視線を変えた。俺を見つめながら、話の続きを再開した。



「今更だけど、やっぱりそう思っちゃってさ。」

「…ふーん。」



そう言って、また亜由美は線香花火に視線を戻した。俺はただ、亜由美の話を聞き受けているしかなかった。


あーあ。
そう言っている本人の顔が、一番儚そうにしてるって分かってないのかねェ。



そんな亜由美を横目にしながら、亜由美と同じく線香花火と向き合う。線香花火はチリチリと火花を散らせ、儚く光輝いていた。


チリチリ……


あ、

また落ちた。



あーあ、儚ねェー。

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