テスト 「あの、…その、坂田先輩っ。」 「ん?何、亜由美ちゃん。」 私は今、何故か坂田先輩に押し倒されています。 それは1時間前の事――… 坂田先輩は、恐縮ながら私の彼氏という者です。珍しい銀髪に、煌めく時は本当に煌めく死んだ魚の様な赤い目をお持ちの人。外見もカッコいいですが、人一倍優しくてとても素敵なお人。 そんな彼が私の彼氏になるなんて、私は何て幸福者なのでしょうか。 それはさておき。 2週間後に、全学年中間テストが始まるのです。私も地道に勉強していましたが、私にも苦手な教科が一つや二つあります。 それは、国語、体育です。国語で一番苦手なのは、漢文・古文です。もう全部の場所に、レ点を付けたくなります。 そのぐらい駄目なのです。 そこでです! 坂田先輩は、なんと国語が一番得意なのですよ!私は先輩として彼氏として、とても頼りになるお人だなと改めて思うのです。 坂田先輩にお願いして、今日から坂田先輩のお部屋で勉強会です。 「亜由美ちゃん、そんなに国語駄目なの?」 「駄目ですよー。漢文・古文が何かの呪文に見えるくらい、駄目なんですよ。」 「そっか。まぁ、亜由美ちゃんならちょちょいのちょいで、解けちゃうからあんま気張るなよ。」 そう言ってくれる坂田先輩は、とても優しい顔をして励ましてくれました。 私はその顔にふにゃーっとなりました。 「……っ!」 「あっ、あのマンションですか?」 「…おっ、おう。」 無事坂田先輩のマンションに着き、部屋に入る坂田先輩と私。 一人暮らしの特徴なのか、ジャンプの山とかゴミが散らばっていた。先輩は苦笑いしながらも、ゴミ袋にささっとまとめてしまい寝室兼居間の部屋に通されました。 何となく坂田先輩の匂いに誘われて、ぱふっとベットに腰を座ってしまいました。 その時でした、私が倒されたのは。 「せせ先輩、べ、勉強はっ。」 「んー?亜由美ちゃんは国語以外にも体育駄目だったでしょ。」 「え?」 この恥ずかしい状態を何とかしようともがきあげましたが、国語じゃなく体育だと言って顔を近づけてきました。私の顔はきっと真っ赤。 「んっ…ふぁっ。」 「亜由美が悪いんだからな。」 部屋を片付けている時は、銀さん我慢してたんだから――… 耳元で低く甘く囁かれた私は、どうしようもなく嬉しくて恥ずかしくてどうにかなりそう。 「はぁっ……んんっ。」 「……亜由美、続きして欲しい?」 「ふぇっ…?」 「国語のテストで80点以上取れたら、続きしてあげる。」 「!!…っ!」 テスト返却日――… 「坂田先輩……。」 「おっ、亜由美ちゃんどーしたの?」 「あのっ、その…結果が……。」 「結果?嗚呼、あの続きかぁ。で、どうだった訳。」 私は言うのが恥ずかしくて、思わず先輩に抱きついてしまいました。 「ちょっとちょっと亜由美ちゃん。今日はやけに積極的じゃないのー。まさか何。80点以上取れちゃったとか?まさかね、続き宣言とかじゃないよね。」 「……85点……取ってきま、した。」 恥ずかしくなって更にぎゅっと強くなって…… 反応が気になって顔を少し上げれば、ぐいっと顎を捕まれてキスをされました。 「んっ、ふぁっ…。」 「亜由美、可愛い。もうね、銀さん嬉しくて家に帰さないからね。」 そう言われて、お持ち帰りされちゃいました。 |