絵文字




ここは歌舞伎町一番人気のホストクラブ。
中でも私は、ナンバーワンホストの銀時に夢中になっている。プライベートじゃないけれど、時々メールをしてくれるの。



「ねぇ。」

「ん?」

「銀時は何で絵文字のハート使わないの?」

「使って欲しい?」

「無理にとは言わないけど、やっぱり使って欲しいなぁ。」

「ふーん。でもなぁ、俺あのハートはどうにも使いづらくてな。」



あまり銀時らしくない答えだったので、理由が知りたくて聞き返す。



「え?どうして?」



片手に持っていたお酒をテーブルに置き、私の方に体を向けそっと私の耳元で低く甘く囁いた。ぞくぞくする。



「俺の亜由美への気持ちが、あのハートに表せられないから。」



嗚呼、飽きない人。

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