入試前夜




私は銀魂大学に進学する為に、毎日努力してきた。そう、明日は努力の成果を出す試験の日。
今日は最後だからといって気は抜けないが、ある程度余裕を持つ。そうしないと、絶対今までの積み重ねが全て無駄になってしまう。
だから、余裕を持つことは大切なのだ。


しかし、やはり前日はそわそわする。だから、少し早めにベットに入ったが眠気なんてこない。

23時前には寝たいなぁと思いながら、ごろごろと寝返りをうつ。


しばらくたつと、私の携帯がブーブーと振動しながら青い光がピカッピカッと光っていた。青い光は、ある特定人物から電話が着たという事。ちなみにメールは白。


手を伸ばして、受話器ボタンを押す。



「もしもし?坂田先生、どうしたんですか?」

「お!起きてたのかァ安藤。」

「早く寝たんですけど、やっぱり眠れなくて。」

「そりゃア仕方ねェって。俺ん時もそうだったし。」

「えー、本当ですかぁ?」

「本当だってば、安藤。じゃなきゃ、俺先生やってないし。」



今頃フリーターとかしてんじゃねェーの?と冗談を言う。私は、先生の冗談が入る面白い会話が好き。ずっと話していたいと思ってしまうほどに、好き。

それは、私が坂田先生を恋愛対象として、今までふれ合ってしまったから。
だって、生徒が教師に恋をするなんて、駄目でしょ?


先生と他愛のない話をして、そろそろ電話を切ろうと私は明日に向けての言葉を言おうとした。
だが、先生に先を越されてしまった。



「やっぱりさァ、ご褒美って大事だと俺は思うのよ。」

「えっ…?」



先生の突拍子もない言葉が、私の予想を上回る。混乱している私には構わず話続ける。



「だからね。、合格してもしなくても、試験が終わったら俺の所に来い。」



そしたら、頑張った安藤に先生からとっておきのご褒美をあげる――…。








試験は無事終わり、坂田先生の言う通りに学校に来た。校門付近に、銀髪が太陽でキラキラと輝いているのが遠くからでも分かる。
私、本当に先生が好きなんだなぁ……。



「よぉ、安藤。お疲れさん。」

「坂田先生、こんにちは。無事試験が終わりました!」

「おう。よく頑張ったな!」



そして先生は、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。先生の手は、大きくて暖かくて撫でられるのは好き。
気持ち良くてそのまま撫でられっぱなしだったが、頭に乗ってる右手はそのまま後頭部に、今まで空いていた左手が私の腰辺りにきた。

そう、私は坂田先生に抱き締められている。気付いた時にはもう遅くて、離れようにも離れなれない。だけど私は、先生が好きだから……大好きだから………。



「安藤……いや、亜由美。卒業したら付き合ってくれないか?」

「……ぇっ。」

「好きだ。」



そう言われて、もう一度抱き締められる。
先生の心臓の音が、少し早くてドキドキしているんだって感じて、愛しさが込み上げてくる。目を閉じて更に感じる。

私の答えはもうずっと前から決まっている。先生に先を越されたって、言う事は決まっている。



「…私も、坂田先生の事が……好きっ。」



ご褒美は、とても素敵なものでした。


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