ちびっこおさがり




新八と一緒に新八の姉が、あゆみの為にわざわざ着物を持ってきてくれた。



「たえたんどーぉ?」

「あらーあゆみちゃん、可愛いわぁ!」

「かぐらたんはぁ?」

「あゆみは何でも似合うアル!」

「えへへっ。」



隣の部屋からキャーキャーと、女子の楽しそぉーな声が聞こえてくる。
あゆみも楽しそうで何よりだが、その姿が見られなくてイライラしている。新八からも、貧乏揺すり止めて下さい何て言われたが、これはしょうがないだろ。
あーっ、いちご牛乳飲もうかな?カルシウム足んないからイライラするんだ、そうだ。きっとそうに違いない。でも、いちご牛乳はあゆみと一緒に飲むのが、人一倍甘くて人一倍美味しいんだよ!駄目だっ!やっぱりカルシウムじゃなくて、あゆみが足りないんだっ!!誰かあゆみを連れてきてくれ!300円あげるから!



「ぎんたんぎんたぁーん!」

「あ?」



ガラっと襖の引く音が聞こえ、そっちを向く。そこには、肩より少し長かった黒髪がふっくらと綺麗に結い上げられ、あまり日に焼けていない白く細い首が覗く。着物は、チャイナ服同様に赤いが、黒髪と白い肌が映えるような色合いだった。おさがりなのに、質が良いのが分かる。



じっと見ていて俺がやっと気付いた時、あゆみは頬を淡く赤くして着物の袖をいじくりながらもじもじしていた。そして、上目遣いで俺に小さな声で聞いてきた。



「ぎんたん……にあう?」



俺の何かが崩壊した。



「似合う!あゆみ超可愛いよ!!」



そう叫ぶと、あゆみは俺に抱きついて好きと言った。俺も好きだァアア!!!
俺はぎゅっとあゆみを抱き締めていたが、外野がうるさかった。



「銀ちゃん、鼻血出しながらじゃしまりがないアル。」

「銀さんはロリコンだったのね。」

「ますますキモいアル。」

「このデレデレは昨日から始まってるんで、気にしたら負けですよ。」



ふ、ふんだ!鼻血なんてチョコレート食い過ぎただけなんだよ。何言っちゃってんのかなァーもう。しかも俺、ロリコンじゃないしぃー。あゆみ限定だすぃー。
てかさ、こんだけ言われるって事はさ。



「お前ら羨ましいんだろーぉ。」



そう言った俺に、定春が俺の頭を食った。
めのまえがまっくろになった。

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