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▼ やんちゃ不良×無口長身

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学校からの帰り道、わき道の方から、何か物音が聞こえてきた。

何気無くそちらを見てみると、服を着崩した、カラフルな髪色をさせた不良達が何人もいた。
どうやらこの不良達は喧嘩をしているらしく、金髪の男に4人がかりで殴りかかっているところだった。
けれど金髪は軽くかわし、逆に殴り返していた。
気付けばあっという間に立っているのは金髪の男だけになり、今まで俺に背中を向けていた金髪はクルリとこちらを向いた。
数秒の間金髪と目が合ったが、徐々に金髪は顔を歪めていった。
「見てんじゃねーよ」




次の日の帰り道、昨日とはまた違うわき道から物音がした。
そこでは昨日と同様に何人かの奴が金髪に殴りかかろうとしていた。
けれど逆に金髪に殴られ、どんどん相手は沈んでいった。
相手を倒し終わってこちらを向いた金髪は俺と目が合うと、大きく目を見開かせたが、直ぐに表情は戻り、昨日と一言一句変わらず「見てんじゃねーよ」と威嚇した。


「やんのか?オラァ」
「何なんだテメェ」
「来いよ。いつでも相手になってやるよ」




本を読みながらイスに座っていると、ガラガラと扉の開かれる音がした。
本に向けていた視線を扉へと向けると、保健室に入ってきた相手は「あーー!!!」と大きな声を上げた。
そのうるさい声に俺は眉間にシワを寄せ、シッと人差し指を口に持っていき、保健室に入ってきた金髪に静かにするよう促した。

ここへ来たということは何か事情があるんだろうと、近くのテーブルに先程まで読んでいた本を置き、俺は金髪へと近付いた。

無言で来室カードを渡すと、金髪はこちらを睨みつつ近くの椅子に座り、大人しく紙を書きはじめた。
可愛らしい動物が『今日はどうして保健室へ?』と聞いている欄に『突き指』と書かれていたので、棚から湿布を取り出し、俺は金髪の隣に座った。

「お前、この学校の生徒だったのかよ…」
ちらっと金髪の顔見て、直ぐに視線を手へと戻す。

「…同じクラス」
「は?え?2年A?」
金髪の言葉にコクリと頷くと、金髪は突然フレンドリーになった。

「なんだよーそれならそうと早く言えよなー。毎回毎回喧嘩してるとこにくっから、てっきり俺に喧嘩挑みに来てんのか、興味本位の奴かと思ったじゃねーか」
「…違う。ただの帰り道。そこでお前が喧嘩してるだけ」
「なーんだ。そうだったのかー」
ヘラヘラと笑う顔は、教室での金髪…もとい金本(かねもと)とも、喧嘩している時の金本とも違い、無邪気なやんちゃそうな顔で、無表情とよく言われる俺の顔は、金本につられて少し緩んだ。

「っ!!!なぁ!今のもしかして笑った?笑ったよな?」
金本はしっかり俺の顔を見ていたらしく、しつこく聞かれた。
俺は金本の言葉を無視し、突き指の治療も丁度終わったので、「終わった。帰れ」と言うと、金本は途端に頬を膨らませた。

「無視しやがってこの鉄仮面!!!ばーかばーか。」
「……」
ドスドスと扉へ向かい、勢い良く扉を閉め、金本は保健室から出て行った。
やっと静かになったと読みかけの本を手に取ろうとした時、ゆっくりと再び保健室の扉が開かれた。

なんだ?と見てみるとチラッと金本が顔を出した。

「治療…ありがとな。…じゃあ」
律儀にお礼をして去って行った姿に、思わず俺の鉄仮面が崩れた。







補足

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