▼ この思い
何がだめなのだろうか
何がそういう問題ではないのか
この世に生まれ落ちた瞬間、性別を入れ間違えた人はたくさんいる。
それはテレビの中や本だけの話だったが、僕はそういう人物に実際に直面した。
その人はただ生物学上「男」という名前の女の子だった。
本当に、ただの可愛い女の子。
そして本人は自分を女だと思い、女だと言う。
ならそれはまごうことなき女の子だと僕は思った。
だけどどうやら周りは違うらしい。
『女の子に見えるだけで、その子は女の子じゃない。』
何故なのか。
何故そんな風に思うのか。
何故そんな風に言うのか。
生きにくい世の中に僕はただただ心の底から絶望した。
見た目も中身も女の子なのに、生物学上「男」だという事実が、そうまでもして足を引っ張り、身動きが取れなくなるのか。
そんな世の中に、そんな考えに、何も変えられない僕の力に、絶望し、恨んだ。
間違っているとは言わないし言えないが、固い考えしか出来ない頭に、茶化す周りに、「ばかやろう」とそう言いたい。
そして叶うことができなかったあの子には「諦めないで」とそう言いたい。
生きにくい世の中だが、それでも「大丈夫だ、頑張れ。君は君だ」と僕はあの子の背中を強く押したい。
押して、押して、それが普通で、当たり前になり、いつか堂々と生きられるようになっていて欲しい。
完
補足
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