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▼ 口悪脳内ピンクドS野郎×ビビり泣き虫ヘタレ2

リクエスト



どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう
その言葉が頭の中をグルグルと回る。

今までずっと見ているだけだった八潮に突然声掛けられるわ、下半身を立てているわ、それを押し付けられるわ、首舐められるわ、何が起こっているのかわからない。
だけど俺の目からは自然と涙が零れ落ち、ガタガタと身体が震える。
どうやったら八潮から逃げられるのかとそれだけを考えるが、キツく掴まれている手首は、まるで俺に『逃がさない』と暗示しているようだ。

掴まれている手首を俯きながら見つめ、この後の自分を想像するが何も浮かばない。



ドンとぶつかり反射的に顔を上げると、八潮の背中があった。
直ぐさま八潮から離れ、何処だここと軽く周りを見渡すと、あまり使われてない大学の校舎の一角だった。
そしてガチャリと八潮が扉を開けると、教室の中は少し古びた机と椅子が数個置いてあるだけだった。

異様な空気が漂うこの部屋と、くるりと身体を反転させ、近距離から俺を見つめる八潮に俺の呼吸が荒くなる。
俺は軽い呼吸困難に陥り、目の前がボヤけて八潮の顔はしっかり見えないはずなのに、何故か興奮したように八潮が俺を見つめているのがわかってしまった。
怖い。怖い。怖い。

俺はこの後どうなってしまうのか、震える身体を抑えきれず、俺の身体は徐々に後ずさる。
だが八潮は俺の手首を離してくれず、逆に八潮の方へと手首を引っ張られた。
嫌々と俺は全力で顔を横に振るが、少しずつ近付く八潮との距離に、震えて歯からはガチガチと音が鳴る。

「俺が怖ぇ?」
ニヤリと笑いながら聞いてくる八潮に俺は返事すら出来ない。

「……いっつも俺が見てるとビクビク、ビクビク震えてるよな」
本能が危険だって伝えてるのかもなと言うと、ドンと俺を床に押し倒した。
震えながらもギュッと目を瞑って堪えていると、ぶちぶちという音と同時に、ヒンヤリと身体が涼しくなった。

「な…に?」
恐る恐る目を開けると俺の着ていた服の前は肌蹴、胸の部分に八潮の顔が徐々に近付いていく。
ふるふると頭を振り『嫌だ、やめて、…!!!』という抵抗も虚しく、両手は八潮に抑えられ、俺の胸に八潮がガブリと噛り付いた。

「あ"っ…ん"っだい…あ"っ…」
血が滲むほど噛み付かれ、恐怖と共に痛さにさらに涙が出てくる。
噛み跡をペロペロと八潮が舐めるが、またいつ噛み付かれるかと考えると怖くて震える。

「その顔…サイッコーだな」
俺の顎を掴み、目線を合わせるように顔を真っ正面に向けさせられた。
ペロリと唇を舐める姿に今から俺は八潮に食べられてしまうのかと考え、ギュッと目を瞑って覚悟を決める。

「もっと声出して泣けよ。」
「んっ……あっ」
突然息を奪うかのように、八潮に唇を塞がれた。
容赦無く口の中に入ってくる舌から懸命に逃げようとするが、八潮に舌を絡め取られ、逃げれない。
だんだん俺の声は上ずり、口の端からはどちらともわからない涎が流れ落ちる。

「……興奮する」
やっと唇を離された時には息が乱れ、頭がボーッと霞がかる。
八潮の拘束が解けたのに身体には力が入らず、手足が動かない。
足元の方でカチャカチャと鳴る音に、目だけを音のする方に向けると、八潮がジーパンのベルトを外そうとしていた。
そして八潮の下半身はジーパンの上からでもわかるぐらい膨れ上がり、ぶるりと俺の身体は震え上がった。




「あー、やっぱり慧ここに居たんだー!!」
ガラリと突然開かれた扉の音と女の子の声に、意識は扉へ行った。

「もしかしたらヤり場かなぁって思って来たけどビンゴ!……ってか下の奴男?えー、慧ってば男まで手出してんの?」
俺達に気にもせず、ズカズカと入ってくる女の子に驚きながらも、八潮の拘束が解けてる今なら!!!と、ようやく力が戻ってきた身体を急いで起き上がらせ、走って扉から出た。

後ろでは何かを叫ぶ八潮の声と、『ねぇねぇ男より女の方が絶対良いってー。ってことでヤろぉ』と言う女の子の声が聞こえてきた。



はぁはぁと息が上がり、ようやくついた駅のベンチにゆっくりと腰を下ろす。
とりあえずあの女の子のおかげで助かったとホッとする。
だけどまた会って捕まったら、今度はもう八潮から逃げられないと思う。
どうすれば八潮に捕まらないか考えようとしたが、今日はもう俺は何も考えたくない。

俺は八潮について考えるのをやめ、丁度やってきた電車に乗り込んだ。






補足

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