短編2 | ナノ


▼ ブレザー男子高校生×学ラン男子高校生2

リクエスト


ふんわり香るさわやかな匂いや温もりに包まれ、僕は幸せに浸っていた。
しかし突然匂いはなくなり、温もりもなくなったことで、僕はゆっくりと目を開いた。

ボーッとしながらも、耳に入る電車のガタンガタンという音に、
『僕、いつの間にか寝ちゃってたんだ…。まぁあんな時間まで漫画読んでたからな…』と考えハッとした。
少しだけ開いていた目を全開にさせ、慌ててここが何処だか確かめる為に周りを見渡すと、隣にいたブレザー男子高校生とバチリと目が合った。

「…え?」
「おはよう」
ニッコリ笑うブレザーさんに僕は目を丸くした。
なんでここにブレザーさんが?
丁度目に入った駅名が書かれている看板には、いつも降りる駅の、1個先の駅名が書かれていた。

「いつもこの1個前の駅で降りてるよね?駅に着いても寝てるから起こしたんだけど、覚えてない?」
「いや…全然」
「俺もここで降りなきゃ行けなかったからまた起こしたら、ふらふらしながらも自分でここまで歩いて来たのも覚えてない?」
「?!」
思い出そうとしても全然思い出せず、むしろ自分でここまで歩いてきたという事に驚く。

ふと、何か左手に違和感があるなと手を見てみると、何かを握っていた。
よく見るとそれは手で、手から腕、腕から顔と、上へと視線を上げると、ブレザーさんに行き着いた。
理解した瞬間顔がボッと熱くなり、ブレザーさんの顔を見ながら僕は口を開閉させた。

「あぁ、手?ふらふらしてて危なかったから繋いでたんだ」
そう言うとパッと離され、何か勿体無い事をした気持ちになった。


「あの、降ろしてくれてありがとうございました。昨日少し夜更かししてて、そのせいで…」
「そっか、夜更かししすぎはダメだよ?」
今度からは気を付けなよと言ってブレザーさんは椅子から立ち上がり、バイバイと手を振ってその場を去って行った。

ブレザーさんの背中を見ながら、ぼんやりと
『あんな声してるんだ』『優しかったな』『笑った顔が見れた』『凄くカッコイイ』と余韻に浸った。


明日からの電車通学は、少し前とは変わるかもしれないと、ぼんやりとしたままの頭の中で僕はそう考えた。






補足

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