(変態ドクターフランケンは悪戯がお好き)

「Trick & treat!」

お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうゾ、と語尾に音符か星でもついてんのかと言わんばかりの浮かれた声と共に重厚な扉が馬鹿でかい音を立ててぶち破られたのが今から49秒前。

ジャックオーランタンをかたどったバスケットを手にくるりと白衣を翻し、俺のまつげが1回こんにちはした次の瞬間には、俺のヤツの顔がキスでもすんのかってくらい超至近距離にあった。真っ赤なルージュでも引いたグラマラスなネーチャンならまだしも、分厚い瓶底メガネの変態ドクターに迫られたところで全く嬉しくもなんともない。オマケに今日はフランケンさながら頭にでっかいネジをぶち込んで血糊を撒き散らし、薄汚れた青白い顔をしたハロウィン仕様だからむしろ気持ち悪いくらいだ。
相変わらずハロウィン気分で浮かれたムカつく笑顔を浮かべるヤツの手元にチラリと視線を落とすとバスケットいっぱいに蜘蛛や蝙蝠をかたどった色とりどりの趣味の悪いお菓子が踊っていた。

「そんだけあればもうイラネェだろ」

さっさと帰ってその大量の菓子を食べたらどうだ?と持ちうる総ての表情筋を駆使してサッサと帰れとアピールする。…そんな行為が全く意味を成さない徒労だということは100も承知だ。

「んーじゃあお菓子はいいや」
これで引き下がるようなヤツだったらどれほど楽か。最もこの変態がこれで引き下がったらさらにドでかいトリックが何処から襲って来るのかを全力で警戒する羽目になるのだが。

「Trickの方だけで」

って言ってもこのお菓子も全部自宅から持ってきた私物だけどねん。
コイツはよっぽど俺に構ってほしいと見える。





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