「それなあに?」
「え、ああ……飴ですよ」
「いいな、マヒロもほしい!」
「1個だけなら」
「はい駄目ー☆」
榊木さんに渡そうと取り出した飴玉を九条先輩はまたひったくった。
「けちー!!」
「なんなんですか! 先輩はねるね食べたでしょ」
「どこまで自己中心的なのですか?」
普段の鬱憤も入り混じったブーイングに若干しょげた表情を見せたが、自業自得だと思う。
「飴ひとつでそこまで言う……? まあいいや。小鳥遊君、これどこで手に入れた? 買ったの?」
「いや、水曜に西区で」
「西区で、誰から手に入れた?」
「え? ええとあれは」
オレは記憶をたぐりながら話し始めた。