「あ、どうも」
「ちなみに梅昆布茶です」
「また渋いセレクトですね……」
「ちなみに隠し味は雑巾の絞り汁です」
「……それを飲めと?」
「冗談ですよ。多分」
「多分!? いやいやそんな不確実なもん飲ませないでくださいよ!」
オレの切実なツッコミを無視して、逢坂 仁希(おうさか にき)は
「あなたのお茶には別のモノを入れておきました」
と一番奥の席に座る人物に告げた。
「なに、愛とか?」
「致死量混入したはずなのにどうしてヘラヘラ笑ってらっしゃるのか私にはとんと見当もつきません」
逢坂さんの静かな爆弾発言を、人形じみた顔をした金髪碧眼の首謀者、九条 道行(くじょう みちゆき)……先輩は斜め上に切り返す。
「致死量の愛かぁ。なんか重そうでやだ☆」
「そのポジティブシンキングはどうにかならないのですか先輩。そしてその毒が利かないふざけた体質をどうにかしてください先輩。とりあえず死んでください先輩」
「なんだか今日はニキちゃんごきげんななめだね!」
「ある意味絶好調ですけどね……」
bkm