1‐3

 彼女は榊木 万尋(さかき まひろ)。
 大きな瞳にくりくり跳ねた短髪。
 身長は140pあるかどうか。
 疑う声も多いが高校2年生だ。いつぞや見せてもらった生徒手帳にもそう書いてあったからそうなのだろう。

「あのねー、きょうハスヌマさんお店のカイギ行ってからくるって」
「……人の話聞いてます?」

 榊木さんはオレに抱きついたままえへへと笑ってごまかした。
 すると今度は背後から冷ややかな声が浴びせられる。

「榊木さんにベタベタ触らないでいただけますか?」

 見るとそこにはハーフアップというのだろうか、長い銀髪の一部をかんざしでまとめた氷の帝王、もとい女王が立っていた。

「逢坂(おうさか)さん、すみません」

(同い年のはずなのになんか敬語使っちゃうんだよな……)

 整っているがひたすら冷めた印象を人に与えるその容貌は、美少女というより中性的な麗人と言った方が近いかもしれない。実際女子人気が高く、中等部の頃、文化祭の劇では並み居る男子を差し置いての見事な王子様っぷりだったと聞いた。実際に見てみたい気もするが、見たら見たでオレが男としての自信を失いそうな予感もある。

 麗人は無造作に言う。

「……早く席についてください。お茶が冷めます」


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bkm
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