5−3

 ――鳳来島西区 路地裏


「急げ☆ 急げ☆」
「いそげっ♪ いそげっ♪」
「皆さんちゃんと着いて来てるですか?」
「「はーい」」
「ったく何度も言うけどお前らもっと緊張感をだな……あ゛ーもうゴミ箱倒すな! 靴汚れたじゃねえか」


管理局の追撃をのらりくらりとかわしながら、ガラテア、九条、榊木、蓮沼の4人は日の射さない小路を行く。


「あれ、ねぇねぇガッちゃん、もしかしてまた入り口変わった?」
「はい、先週管理局の人が入り込みやがって下さいましたからね! ここと東口以外完全封鎖中なのです」


にこやかに語るが、語尾に若干の怒気が宿る。


「なんでそんな面倒くせえことすんだよ?」
「わかんないの? さっすが鈍いね八房君☆」
「分かるわけねえだろ」
「しょうがないなぁ、そんなお馬鹿なキミにヒントをあげよう。んー何が良いかな」

「『住民登録』とか?」

 ガラテアの出した手掛かりに「それじゃ答えだよ」と九条が口を尖らせる。

「『住民登録』……そういやこっちでマンション買った時やたら手続きがややこしかったな」
「はぁ!? 買ったの? わざわざ? マンションを?」

 わざとらしく声を裏返して驚いてみせる九条に蓮沼が怪訝そうに応えた。

「一部屋だけだぞ? 寮は何かと気使うだろ、相部屋だし。なんか無駄にしつこく身元確認されたな……パスポートまで見せて……国籍なんて見りゃわか……あ」
「もー、ヒントが簡単すぎるよ。もっと勿体ぶらなきゃ」

 話題についていけない榊木が、少しすねたように声をあげた。

「ねー、さっきからなんの話かぜんぜんわかんないよ!!」
「大丈夫、つまんない話だから。知ったところで楽しくないし」
「本当、楽しくないのです」


それじゃ答え合わせ、とガラテアが落書きだらけの鉄の扉を開いた。


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bkm
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