――西区 大通り
5分経過。さらに狂乱の様相を呈する繁華街。
それを囲む人混みの中で、相も変わらずのどかな傍観者が2人。
「旦那ァ」
「なーに? ってかその呼び方確定なんだ?」
「あの小さい女の子ですけど」
「万尋ちゃんね。それにしてもキミって何げにスルースキル高いよね」
「あれ、もう自分がなんで暴れてるのか忘れてんじゃないでスかね?」
「あくまで流すつもりか……まあ、多分後で理由聞いても忘れてるだろうね。下手したら何かに怒ってたこと自体忘れてるよ」
「うらやましいでスねー」
「幸せだよねー☆」
とぼけた会話を続ける男達の目の前に、緑色の髪が躍る。
「あのカバンをどこへやったのですか! あれの中身すっごく高かったのですよ!?」
「し、知らねぇ……本当にしらねっ、ぐあっ!!!」
距離を詰められたスウェット姿の少年は背を向けて逃げようとする。
その横腹にガラテアの鋭い蹴りが直撃した。
倒れ込む少年。
「そんな意地悪ばっかりする人には……天誅っ!」
「っ!?」
その不良に止めとばかりにブーツのかかとが振り下ろされた、その場所は――。
「「……ご愁傷さま……」」
呑気に見物していた男共もこれには手を合わせる。
ガラテアがそれに気付いた。