――同時刻、紅城学園高等部屋上
「先輩だけじゃ無理って何があったんですか!?」
蓮沼先輩がこんな必死に助けを求めてくる事なんて今まで無かったから、オレはどうしていいか分からずただ聞き返す。
逢坂さんが怪訝そうに側に寄ってきた。
蚊帳の外にされた葛城はきょとんとした顔でいちご牛乳をすすっている。
『榊木がキレて手ぇつけらんねえんだよ! しかもなんか変な奴が混ざってるし』
「榊木さんが?」
――あの人をキレさせるなんて、一体どこのチャレンジャーだろう。それに蓮沼先輩の言う「変な奴」ってどの程度変なのかイマイチよく……
『――なし、おい小鳥遊聞いてるか!?』
「あ、ハイなんですか?」
『チッ、ぼーっとしてんじゃねえよこんな時に!』
「すみません……」
『あー、まあいい。西区の一番でかい通りあるだろ? 今そこにいるから逢坂連れて急いで来』
携帯が地面に叩きつけられたような雑音が入る。
「あれ先輩? どうしたんですか先輩!?」
電話はすでに切れてしまっていた。