3‐6
「おい、もっとスピード出せないのか!?」
「無理だ! 人が多すぎる」

 不良達は2台のバイクに分乗し、人混みを裂いて逃げ惑う。

「おい榊木ッ!! やめろ、公共物を壊すなあああああああぁ!!!!」

 必死に後を追う蓮沼。その間にも自動車進入禁止の看板や店先の幟が少女の小さな手でぶん投げられ、凶器と化す。

「ガラテアちゃんも助太刀するのですよ!」

 妙に金属的な声に振り返ると、先ほど不良達に囲まれていた女が全速力の男子高校生を追い抜く勢いで迫っていた。

「はあ!? お前、さっきのコスプレ女じゃねえか! ……せっかく助けたんだから大人しく帰れよ……」
「コスプレとは失礼な! ガラテアちゃんは科学の限界を越えてやってきた正義の味方系超ハイスペックロボなのですよ!?」
「ああ、そうか、ならとっとと地球の危機でも救って来い世の中悪に満ち満ちてんぞ」
「ふん、当然です。でもその前にちょっと私怨を晴らしてくるのですよ!」

 そう言い残してガラテアと名乗る女はさらに加速し、不良の乗るバイクを追った。

「私怨って……出てきて早々正義じゃねえし……」

 ぼやく少年を尻目に、暴徒達は西区へ向かう。


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bkm
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