2‐7
「……どうですか?」
「不味くは、ないです」

 意外だ。
 てっきり「大変豪華な犬の餌ですね」とか言われると思っていた。

「逢坂さん、おれの卵焼きも食べる? おれん家のばあちゃんの卵焼き甘くてうまいんだ」
「甘い? 砂糖を入れてらっしゃるんですか?」
「うん」
「邪道です」
「ひっで! しかも即答!」
「そう思うなら貴方が食べて差し上げなさい」

 ……。
 ――なんか、こうしてると逢坂さんって案外普通の人なのかな、とか思いそうになる。

 普通にしゃべるし。
 普通に食べて。
 普通に気なんて使ってみたり。

 しかし次の瞬間、そんな「普通」は簡単にひっくり返る。

 オレの携帯が鳴った。
 スピーカーから蓮沼先輩の切羽詰まった声が聞こえる。

『――小鳥遊! 逢坂もそこにいるか!?』
「は、はい。どうしたんですか」
『今すぐ来てくれ! この状況……言いたくねえが俺だけじゃ無理だ!!』


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bkm
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