2‐2

「ああ。最近若い奴ら……特に中高生ぐらいのガキに配り歩いてる連中がいるらしくてな。
ラリって暴力沙汰起こすヤツが増えてうちの店、特にゲーセンとクラブでも対応に追われてる」
「……『配り歩いてる連中』ということは組織的な犯行ということですか?」
「みたいだな。配ってる奴1人とっ捕まえて本土の警察に送っても次の日には別の奴がいるらしいし」
「ってゆーか未成年がクラブ経営ってどうよ」
「うっせ黙れ。ゆくゆくは俺が全部背負ってかなきゃなんねえんだ、経験積むのに歳がどうとか業種がどうとか言ってられっかよ」
「ハスヌマさん“くみちょー”になるんだもんね!」
「そっか舎弟達の生活がかかってるんだったね☆」
「俺んちヤクザじゃねえっつってるよなあ……?」
「「わあアニキが怒ったあ♪」」

 ……もう止める人間がいない。以下乱闘。



 理不尽に腕力の強い3人のじゃれあいに割って入るわけにもいかず、オレは相変わらずクールに成り行きを見守っている逢坂さんに話を振った。

「逢坂さん、蓮沼先輩さっき中高生って言ってましたけど」
「この島で中高生と言えば我が校の生徒でしょうね」
「ドラッグってニュースとかでしか聞いたこと無くてオレには関係ないと思ってたけど……こんな身近だったなんて……」

「とうっ!」
「!?」

 九条先輩に後ろから頭をはたかれた。

「なにつまんない講演会の感想みたいな定型文吐(ぬ)かしちゃってる訳?」

 ドタバタ走り回る足音が止まる。


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