――30分後
ようやく事態は沈静化し、話は戻る。
「何の話だっけ?」
九条先輩がタオルで頭を延々と拭きながらオレに言う。
「オレが西区でもらった飴に何か悪いモノが入ってるのかって話です」
「お前抜けてんだからそもそも西区なんざ行くなよ馬鹿だな」
ジャージ姿の蓮沼先輩が呆れたように呟く。失礼な。
「でしょ? しかも1人だよ? アホだよね」
「タカナシってあほなんだー!」
「否定出来ませんね」
憐れむような視線が揃ってこちらに向けられた。普段バラバラの癖にそんなところで意気投合するんじゃない。
2 行動開始?
とはいえさっきの水の効果で先輩達はかなり落ち着いた、というかテンションが下がったようだ。
まあ後片付けはほとんどオレがやった訳だが。
「で? 俺が来てちょうど良かったってのはなんだよ」
「コレ見てー」
九条先輩は離れた席の蓮沼先輩に飴を投げて寄越す。
やっぱり妙に力強いスナップで。
「……これお前、ドラッグじゃねえか」
特に驚いた様子もなく、蓮沼先輩が飴の正体を告げた。
「ドラッグ……!?」
わざわざ横文字で言うのだから当然普通の薬ではあるまい。そんなモノをオレは大事に持ち歩いて、それどころか人に渡そうとしてたのか?
急に汗が吹き出してくる。