1‐11


 そんな2人が今じわじわと戦闘体制に入りつつある。
 オレとしては正直びびらざるを得ない。

「……あのぅ……」
「よしわかった。そんなに刀の錆になりてえなら表出ろ」
「2人とも、ケンカは」
「はっ、君がそこまで浅はかな子だとは思わなかったな。屈辱と後悔を花束にして君に贈るよ☆」
「しないで、くだ、さ……ってやっぱ聞いてない」

「随分とふがいないですね、小鳥遊君」
「マヒロとニキちゃんにおまかせなの!」

 すっ、と女性陣2人が席を立った。

「「2人とも」」
「けんかしちゃだめー!!!」
「本題に戻って下さい」

 次の瞬間。
 榊木さんが蓮沼先輩の長身を軽々と持ち上げ、
 叩き落とし、
 続け様に九条先輩に美しいフォームで巴投げを決める。
 その間逢坂さんはバケツに水を満たし……
 何が何だか分からない様子の2人に頭から浴びせた。

「頭は、冷えましたか?」

 ――オレはこの時――この人達を敵に回すのは絶対にやめようと思った。


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