1‐10
「なんかあったか?」
「ああ、ちょっとね。君が来てちょうど良かったよ」
「もめてんのか? ならさっさと謝れ土下座して謝れ」
「もめてはないよ。っていうかなんで僕が悪い事になってんの?」
「大体のことはお前が悪い」
「人を諸悪の根源みたいに言わないでよ」
「言われたくなきゃまともな生き方しやがれこの社会不適合者が」
「言ってくれるねぇ。そういう君こそ学校に刀なんか持ってきて、銃刀法ぶっちぎってるの分かってる? 一応日本の領海内だよここ」

 当然、わかりきった上でぶっちぎっていらっしゃるのだ。
 
 蓮沼先輩は(本人が言うには)護身用に刀を持ち歩いていて、先生方も何度も取り上げようとしたり、先輩自身を退学処分にしようとしたらしい。当然といえば、まあ当然だろう。しかし注意しようと近づけば抵抗も反論もしないものの、無言の圧力で牽制され、学校としても全科目トップの成績と有名複合企業の御曹司という肩書きは退学させるには惜しいようで、経営陣は静観を決め込んでいる。

 かたや九条先輩だが、数ヶ月一緒にいるが何も分からない。

 授業中窓の外を見るとたまに中庭に大量の野良猫をおびき寄せてもふもふしていたり、向かいの校舎の屋上にあるフェンスの上を散歩していたりするので授業には出ていないようだ。
 そもそも普通教室棟で見かけたことすらない。
 半ば都市伝説と化していて、黒い噂がよく耳に入る。


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bkm
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