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「風邪気味なんでな。インフルエンザ媒介でもされたら迷惑だ。汚いから返すなよ」
「病気しやすいの治ってないだろう。それにこんなのもらっても」
「俺は母さんの手編みのが家にある。吹きっ晒しに薄着だから温度もわかんなくなんだよ。常識的な服装をしろ」
じゃあな、と言って忙しない足取りで犬は人混みに消えた。
わからない。
どのくらい寒いかなんて。
寒さから守ってくれる生温い愛情なんて。
立ち尽くした僕は青白くなった指先を頬に当てたが、もはや何も感じなかった。
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bkm
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