寒い、という感覚を感じないわけではない。むしろ苦手だ。とても。そうだったように思う。
年が明けて1ヶ月が過ぎたというのに春の足音は遠く、鳳来島でも雪が街路樹や屋根にうすく降り積もっている。聞けば最高気温は5度らしい。正気の沙汰とは思えない。
という僕の見解をよそに実に規律正しくこの偽物の、いや一種の本物の人工都市の社会は動いている。
働き者で結構だが毎年事故で何人かいなくなっているというのに何故そうも同じ動きを繰り返す事に偏執するのかわからない。
第一道が混んでいけない。
中央区の大きな十字路で車がスリップ事故を起こしているのだ。おかげで人の流れが悪くなって半袖Tシャツの僕は哀れにも寒空の下たまの背に乗ってねぐらにひとっ飛びすることも叶わない。