もしもし、オレだけど
2011/05/02


※高校生な二人


「…毎日学校で会ってるだろう、家も隣なのに何故携帯を持つ必要があるんだ、金の無駄だ」
とか言っていた角都に半ば無理やり携帯を持たす事に成功したオレは、登録したばかりの番号に早速掛けてみることにした。制服を脱ぐのも煩わしく、そのままベッドにダイブして通話ボタンを押そうとしていた親指が少し震えている事にふと気付く。取りあえず息を一つ吐いた。ああ、やべーオレ角都相手に緊張してやがる。
思わず笑った。

「………さっき別れたばかりで電話を掛ける馬鹿がいるか」
低くて腰の辺りをビリビリ刺激する角都の声は電話越しでも健在みたいでほっとした。衣擦れの音がわずかに聞こえて、ネクタイを外しているのか、それともシャツを脱いでいるのか、その下の厚い胸板まで想像して思わずニヤつく。電話だと表情が見られないのもまた魅力の一つだと思う。
「いや、角都今何してるかなーと思ってよ」
「…このまま圧し折るぞ」
「あー!分かった分かった、もう用がないときは電話しねーからまだ切るなって!」
「うるさい!」
いや今絶対お前の声の方がうるさかったぜ。まあ言わねーけど。つーか何かヤバい、変にテンション上がってきちまった。
「なあなあ、オレが今何考えてるか分かるか?」
「馬鹿の考える事など知らん」
「じゃあ特別に教えてやるよ、実は…角都の事考えてた」
あ、今すっげー嫌な顔してんだろうなあと思ったら余計に面白くてたまらなくなって、そばにあった枕をぎゅうっと抱きしめる。

「角都、愛してる」

ブツッという音のあとに通信が切れたお知らせがオレの耳に虚しく響いた。照れ屋でドSな角都は愛の言葉みたいなものは滅多に口にする事はないが、今日は顔も見えてないしさすがに言い返してくれるんじゃね、とかちょっと期待したオレが馬鹿だった。だけど何となく勝ったような気がする。
「あーやべ、角都やべー、ゲハ、あいつマジでかわいい…!」

とりあえず明日の朝、ビンタの一つは覚悟しておこうと思う。



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