勝手に大きくなるのを
止められないらしい
2011/01/23


目の前には敵、敵、敵。
オレはウーンと唸ってからあれだな、四面楚歌ってやつだな、と言った。隣にいた角都が驚いたような顔をしてよくそんな難しい言葉を知っているな少々間違ってはいるが、と感心していた。全く褒めていない。
「それより気を抜くな、死ぬぞ」
おお。オレは少し期待してチラリと角都を見たが別にいつもと変わりはなかった。普通アレだろ、もっとこう、心配してんなら顔がかわいい感じにキュウってなるじゃねーか。あれ?違う?
ボケッとそんな事を考えていたら余所見をするなと怒られた。

まぁオレ達にとって数ってのは大した問題でなく、いつものやつでチョチョイと片付けた。今日はちょっとヘマをして(偽暗の射程距離に入った)右腕が千切れちまったけど、これも角都が治してくれる。アレ角都って何かオレの全部かも、とか自分でも意味の分かんねーことを考えて慌てた。これはアレだ、角都がずっと黙ってるから変な事考えちまうんだ。

「な、なぁ角都よ」
「何だ」
「気を抜いてもオレは死なねーんだけど、もしかして今までオレのこと心配してくれてたのか?」
チクチクと右腕を縫っていたものがピタリと止まった。不思議に思ってどうした角都と声を掛けようとして顔を上げたら、目の前には眉間にシワを寄せながら頬を少し赤くした角都がいてオレは思わずウワァと声を上げる。滅多にないものを見れて密かに喜んでいたら、突然飛びっ切りの平手打ちを喰らって、右腕の黒いやつも嫌な音を立てながら無理矢理引っこ抜かれる。そしてそれきり角都のだんまりは更にひどくなった。

今度アジトに戻ったらデイダラちゃんを呪ってやろうと固く心に誓いながら、オレは足りない頭で必死に解決法を探している。



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