君と性的1週間 | ナノ

木曜日:ミルキーウェイにて自慰




木曜日の仁王は帰りが遅い。


ベッドで、一人横になる。
もちろん、隣に仁王はいない。

寂しい…。
いや、寂しいのではない。
認めたくないが、これは。

―欲求不満というやつだ。

時計を見てみるが、仁王が帰ってくる時間には、まだ程遠かった。



「…ん…っは、はあっ…」
右手を自分のものに添えて、いつも仁王がしてくれるように上下に擦る。

仁王と一緒に住むようになってから、自慰をするのは初めてのことだった。
なんかよく分からないが、今日はそういう気分だったのだ。

「はあ、はっ…んっ」
先端から漏れ出した先走りを絡めて、更に扱く。
仁王の細い指が、そうしているところを想像しながら。
「は…っん、にお…っはあ、ん」
自分の声の他には、じゅぷじゅぷという音しか聞こえない。
いつもなら聞こえる、仁王の荒い息遣いも、甘い囁きも聞こえない。

「あ、あ、やあん…っ、はあぁっ!」
聞こえない、のに。
聞こえるように感じてしまう。
頭の中で、何度も繰り返して再生されるのだ。
自分の名前を呼ぶ、欲望を孕んだ仁王の声が。

「ひぃあぁっ、あ、あ…!きも、ち…っもちいぃ…っ」
手の動きが速まる。
止まらない。

「ああっ、におぉ!きもち、よぉ…!にお…っ」
仁王の名前を呼びながら、必死になって自分の性器を扱く。
「あ、ぁ、も…っ、ひっ、あっひやあああぁぁ…っ!」
亀頭を爪で刺激し、俺は呆気なくイってしまった。

「…はっ…はあ、はっ」
シーツが精液で汚れているのを、ぼうっとした頭で眺めていた。

…どうしよう。
全然足りない…。

再び時計を見る。
仁王が帰ってくる時間ではない。
どうしようかと回らない頭で考えていたら、ふいにカチャカチャという音が耳に届いた。
その後にバタンで、次はガチャだった。

「たっだいまー…って、ええ!?」
「あ、仁王、おかえり。早かったな」
「おー…なんや、参謀が寂しがってる気がして」
「テレパシーか」
「って、えーっと、柳さんは何をやってらしたんですか?」
仁王が俺の姿を見て言う。

当然だろう。
仕事から帰ってきたら、恋人が下半身裸でベッドの上にいて、シーツは白く汚れているのだから。

「何だ、その呼び方。というか標準語になっているぞ」
結構、というかかなり恥ずかしかったから、俺のごまかし方も意味不明だったと思う。

「えええ…なんかもうよお分からんけど、アレじゃな」
「アレ?」
「据え膳食わぬは…ちゅうやつじゃな」
「…親父臭いぞ」
そう言いながらも、俺だって、早く仁王に食べられたくて仕方がないのだ。
なんて。



(はやく、はやく、)





-----キ---リ---ト---リ-----
納得の短さ!

同棲に関しては完全に後付け設定です。
ていうか、こいつらの仕事は何なんだ。



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