火曜日:馬鹿みたいで好き 火曜日の朝、仁王が何か探し回っていた。 何を探しているんだと聞いても、んー、とか言うだけで答えてはくれない。 そのうち、仁王は放っておいて、本を読むことにした。 「おー、あったあった」 仁王が、声を上げたので、そちらを見てみる。 彼が手に持っている物を見て、俺は絶句した。 猫の耳が着いたカチューシャと、セーラー服。 しかし、次に仁王が言った一言は、俺を更に絶句させるものだった。 「さんぼー、着てみて」 「絶対に嫌だ」 「えー、何でじゃあ」 「何でだと?…だったらお前が着ろ」 「えー、嫌じゃ」 俺は、はあ、とため息をつく。 「大体、こんなもの俺が着ているところを想像してみろ。気持ち悪いだろう?」 一瞬、仁王は考え込むような表情を見せたが、すぐに顔を輝かせた。 「めちゃめちゃ可愛かったナリ!ってわけではよ着んしゃい!」 …お前の頭は一体どうなっているんだ。 結局、仁王があまりにもしつこいので、百歩…いや千歩譲って、猫耳カチューシャだけは付けてやることにした。 「…さんぼー、まだなん?」 付けるまで部屋の外にいろと言ったので、仁王はドアの前で待っていた。 鏡で自分の姿を見てみる。 …間抜けだ。 身長181センチの男の頭に猫耳が付いているというのは、やはり異様な光景だ。 「…仁王…やっぱりやめ…」 「あー!もー待てん!入るぜよ!」 「え…!?ま…っ」 返事も聞かずに、勝手にドアが開く。 俺を見て、仁王は目を見開いた。 ほら、だからやめた方が良かったのに。 「にお…っ」 「かわええ…!」 「…は?」 「やっぱりめちゃめちゃ可愛いぜよ…!さんぼー猫ちゃんじゃあ!」 仁王は嬉しそうに笑って、俺の身体を抱きしめた。 こいつのツボは、本当にどこにあるのか分からない。 まあ、喜んでるなら良いか…。 「参謀、ニャンって言うてみて」 「は…!?…に、にゃん…」 「おぉぉー…感動じゃあ…」 何がだ。 「じゃあもう良いな。外すぞ」 と言ってカチューシャを外そうとすると、その手を掴まれた。 「だめじゃ。まだ何もやっとらんぜよ」 仁王が耳元で囁く。 その言い方で、俺は、仁王が何をしようとしているのか察した。 「…するのか?この格好で?」 「当たり前じゃ。やって、そのための猫耳じゃもん」 仁王の指が、唇をするするとなぞる。 そのまま唇をこじ開けられ、指は口内に入り込んできた。 「…っんぐ…!?」 「舐めて」 言われた通りに、仁王の指を舐める。 仁王が、好き勝手に指を動かすので、追いかけるように必死に舐めた。 「猫っぽくてかわええのぅ…参謀」と、仁王は楽しそうに笑った。 その間に、仁王のもう一方の手が、俺のベルトを器用にはずし、着ているものを脱がされる。 座っているので膝までしか下がらなかったが、外気に晒されて、自分の隠茎が震えるのが分かった。 ちゅぷん、と指が抜かれる。 片手で、腰を支えられ膝立ちさせられると、唾液にまみれた仁王の指が、後ろの穴にゆっくりと入ってきた。 「…はっ…っんん」 仁王の肩を掴み、異物感に耐える。 「う…っんんっ…!あっ」 指先が、前立腺をかすめると、今度は快楽が襲ってきた。 「ん…っあ、はぁ、っ」 「…指増やすぜよ」 と、仁王がはしたなく先走りを垂らす俺の隠茎に触れた。 「ひ…っぁ」 それだけのことにも、敏感に反応してしまう。 先走りに濡れた指を、後ろに加えられる。 「…あぁっ、ん、ふぁっ」 「んん…っあっ、ぁ、ひっ…!」 耳を舐められ、腰が落ちそうになってしまった。 「…さんぼー耳弱いのぅ」 仁王が、喉をクツクツと鳴らした。 そのまま、耳の裏や中を舐められる。 「ひうぅ…っみみっや…っ」 「えー…嫌なん?」 「そこっで…ぁっしゃべ、な…っ」 「…気持ち良さそうじゃのぅ」 仁王の指が、中でバラバラに動いたり、折り曲げられたりする。 「あっ、き、もち…っからぁっ…!もう…!」 「もう…何?」 …分かってるくせに。 「…もっ、ほしい…っ」 涙ながらにそう言うと、仁王はニヤリと笑った。 「あれじゃな。ちゃんと主語述語が無いと分からんぜよ。…さんぼーは、どこに何が欲しいんかのぅ」 「そ、んな…っ」 「あ、そうじゃ!猫なんじゃから、語尾にはニャってつけんとだめじゃよ」 「ふぁ…っむり、だっ」 俺が首を横に振ると、仁王は、あからさまに残念そうな顔をした。 「んじゃ何も入れられんのぅ…」 と、指を抜かれる。 「あっ…!やっ、なんで…っ」 「やって、無理、なんじゃろ」 本当に泣きそうだ。 俺は、荒い息を吐きながら、四つん這いになって仁王に尻を向ける。 猫みたいに。 ヒクヒクと物欲しげにしている穴を、指で左右に開く。 恥ずかしい。 恥ずかしい、のに。 「……っ俺の、ここっに…っにお…の、あつい、の…っい、いれて…ほし、いにゃあぁぁあ…っ!?」 「も、我慢の限界じゃ…」 言い終わらないうちに、腰を掴まれ、仁王のものが深く突き刺された。 あまりの衝撃に、支えられていない上半身が崩れてしまった。 これじゃ、威嚇する猫だ。 「あっ…んぁぁ…!あ、ぁっ」 腰をガクガクと揺さ振られる。 「…はあっ、あ、あぁっ…っやっ、ひやぁぁあ…っ!」 仁王が抱き着くみたいに覆いかぶさってきて、奥まで深く突かれる。 「な…っ気持ちええん…?」 「あぁ…っみみっで…やぁっ」 「さんぼー、ほんまに…っ耳好きじゃな」 と、耳を甘噛みされる。 「んやあぁぁあっ!あっ、や…っもち…っきもち、ぃいい…っよぉお…!」 「ん、俺もすげー、気持ちーぜよ」 「あっ、はあっ…!やぁっ!も…っ、で…っでる…っでちゃうよぉ…っ!」 「えーよ、ほら」 「やあぁぁあ…っあぁあ…!あっ、でるっ…!でるうぅ…!…っひあぁぁ……っ」 仁王に前を扱かれ、俺は達した。 中に熱い感覚がして、仁王もイッたのかと、熱に浮かされた頭で考えた。 「どんどんアブノーマルになっていっている気がする」 外した猫耳カチューシャを見て、言う。 「男同士の時点で、もうノーマルじゃなか」 「そうか」 「そうじゃよ」 「やから」 と、仁王の唇が、俺の唇スレスレまで近づく。 「これからもどんどん面白いことしてこうの」 そう言った仁王の顔が、あまりにも楽しそうだったから。 俺は、「いつか絶対、仁王にあのセーラー服を着せてやろう」と心に誓いながら、超至近距離の唇にキスをした。 馬鹿みたいで好き (僕らのセックスほど馬鹿馬鹿しいものはないね) [←] | [→] |