横浜駅東口、午後八時。 人通りの多いこの場所で、初対面の、それも同性の仁王雅治にいきなり告白されて、柳蓮二は心底驚いた。 電車に乗ってさあ帰ろうというところで、横から、どん、とぶつかられた。 突進、と言っても良いくらいの勢いはあった。 思わずよろめいた身体を立てなおし、ぶつかってきた相手を見る。 銀髪の青年だ。 顔は美形だが、どことなく軟派な雰囲気がする。 文句の一つでも言ってやろうと思ったが、それよりも先に、青年の口が動いた。 「好きじゃ」 横浜駅の東口に響くような叫び声だった。 「俺と付き合って」 柳は心底驚いて、驚きついでにうっかりこう言ってしまった。 「君、名前は?」 [←前へ] | [次へ→] |