綺麗はこわい | ナノ

14 未来の話




窓の外はすでに暗くなっており、青白い月がゆらゆらとぶら下がっているのが見えた。
明かりの点いていないこの部屋を、その光だけが照らしていた。
仁王は、ぼんやりとその月を見ていた。

隣では、柳が眠っている。
先ほどまでの行為に疲れたのか、彼は普段は見せないような無防備な姿で眠っていた。


仁王は、その視線を月から柳へと移す。
綺麗じゃなあ。
月の光に照らされた柳は本当に綺麗だった。


その顔を見ながら、仁王は考える。

例えば、もし、自分も柳も、他の誰かと結婚して。
子どもが出来たりして。
幸せな家庭、それなりの仕事。
休日は家族で出掛けたりするんだろうか。
それが、普通の未来だ。

でも、そうだとしても。
俺は、今日のこの日を決して忘れないだろう。
これから柳と過ごすであろう日々も。
たとえ、いつかこの関係に終わりが来ても、決して柳のことを忘れない。

いや、そうじゃない、と仁王は考えた当たり前の未来を頭の中からふるい落とす。

例えば、どんなに歳を取ってもこんな風に柳が隣にいて。
ずっと一緒にいたりして。
幸せな家庭、それなりの仕事。
休日は二人で出掛けよう。

そんな、綺麗すぎる未来があっても良いんじゃないか。
どうかの、蓮二?




-end-







-----キ---リ---ト---リ-----
完結しました!
ここまでお読みいただいた方も、これだけお読みいただいた方も、ありがとうございます。

最初から最後までぐだぐだな連載でしたが、今これをお読みいただいているあなたのお陰で、なんとか終わらせることが出来ました。
大袈裟ではなく!まじです!

ラストで着地点を見誤った感がありますが、それは考えない方向でお願いします!

それでは、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました…!
またいつか機会がありましたら。


2011.1/27 管理人:きほう



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