「・・・」
何だ、なんなんだこの格好は。あり得ない、悪い夢でも見ているのだろう。もう一度寝ればきっといつもの美形の俺に戻っているはずだ。
「・・・にゃー」
二度寝してみたが、戻る気配がない。どうすればいい。取り敢えず、家の近い荒北に頼んでみるしかない。俺は自分の家を出て、荒北の家に向かった。
「!」
ちょうどいいところに、荒北と段ボール!この中にいれば動物好きな荒北は確実に拾うだろう。
「あ?・・・捨て猫かァ?」
「にゃー!(気付いてくれたか荒北!)」
「俺、犬派なンだよねェ・・・アイツに頼むか」
は?お前が見てくれないと困るぞ!荒北!おい!・・・ってまさかここって・・・
ピンポーン
ガチャッ
「・・・なに?こんな朝っぱらから」
名前の家だと!?!?!?ふざけるなよ荒北、まさかお前名前に任せるわけではないだろうな。
「俺、犬派だからこの猫飼ってくんなァイ?」
「・・・は?」
「んじゃ、頼むわ」
「え、ちょ、荒北!?」
なんて無責任な奴だ。自分が拾っておいて人に任せるか普通。困っているではないか。ああ、どうする。よりによって自分の・・・好きな人の家に住むなんて。ならん、ならんよ!!!
「・・・」
見つめないでくれ、頼む。取り敢えず猫らしくしてみるか?
「・・・にゃ」
鳴いた途端、俺は名前に抱きしめられた。柔らか・・・じゃなくて!見たことないぞこんな緩みきった顔!!!か、可愛いな・・・
「仕方ない、飼ってあげよう」
すりすりするなぁあああああ!!やめてくれ!お願いだから。と思ったらいきなり離れて見つめてくる名前。
「尽八に似てる・・・」
「っ!!!」
「え、ああごめんっ!びっくりした?ごめんね」
バレだかと思った・・・っていや、バレた方が俺的にはいいはずだ。かと言ってどうやって伝えればいいかも分からない。
「・・・ぱち」
・・・反則ではないのか?ぱ、ぱちだと?・・・いかん、返事をしておいた方がいいだろうな。
「にゃー」
「うん、ぱちにしよっか!」
なんだその笑顔は。
「それにしても、やっぱりにゃんこは可愛いなぁ」
俺的には、お前が一番可愛いぞ。なんて言えない。どうする、この状況。
全ては荒北のせいではないか。
許すまじ荒北。
起きたら猫になっていた。
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