「名前、携帯チラチラ見て確認してるけど東堂様と連絡でもとってるわけ?」
「ちちちちちち、違うよ!とってないよ!」
「あーうん分かった。とってるんだね」
昨日偶然会った東堂くんに何故か電話番号とアドレスを聞かれて交換した。さっそく夜になって連絡が来て、それから今までずっとメールでやりとりをしている。それをまだ何も言っていない真紀ちゃんに言い当てられるなんて、思ってもみなかった。隠すつもりは無かったんだけど。
「へぇ、東堂様がね〜」
「ニヤニヤしすぎ」
「アンタ東堂様の事気になってんでしょ?」
そう聞かれて、私は答えられなかった。気になっている・・・確かにそうかもしれない。ていうか、これだけ良くされて気にならない方がおかしい。・・・イケメンだし。
「好きになって付き合っちゃえば?ていうかもう付き合ってるみたいなもんなんじゃないの?毎日送ってもらったりなんかしちゃって。彼氏か」
「箱根で有名な美形男子だよ?無理に決まってるじゃん」
私がそう言うと、真紀ちゃんはもっと緩んだ顔で私を見る。
「いい事教えてあげようか?」
「な、なに」
「東堂様って、女の子に連絡先教えたりしないらしいよ?」
真紀ちゃんの発言に驚いて、それと当時に凄く嬉しかった。他の女の子が知らない番号やアドレスを、私が知っている・・・しかも、本人から教えてくれた。でも、そんな事を知ったら尚更・・・
「気になっちゃうでしょー?」
「うっ、うるさいよ真紀ちゃん!」
今日のバイトの時、いつも通り東堂くん達が来るだろうし普通に接する事が出来るか不安だなぁ。
「あ。雨・・・」
学校を出てバイト先に着いた途端に、雨が降り出した。結構強めだし、今日は東堂くん達来ないかもなあ。しかし、そんな考えとは裏腹に東堂くん達はいつも通りコンビニに来た。
「ったく、ンだよこの雨」
「湿気で髪が跳ねてしまうな」
「パワーバーが濡れちまった」
文句を言いながらコンビニに入って、ジャージについた水滴を払う三人。
「・・・苗字さん!雷が鳴っているが大丈夫かね?」
「え、雷!?大丈夫だけど・・・」
雷が鳴っているのは気付かなかった。外を見てみれば、確かに光ってはいるが、遠めな気がする。これなら大丈夫。
「帰りは気をつけるのだぞ!」
「どーせオメーが送ってくんだろォ?」
「え、いいよ!雨酷いもん」
結局、尽八くんは断りを聞かずに帰っていった。一応、メールもいれておこう。こんな雨が強い日に待たせるなんて悪すぎるから。東堂くん達が部活に行って暫くしてからお客さんはあまり来なくて雨も酷くなる一方で、私の上がりの時間の時には雷も酷くなっていた。
「上がります」
「ん、おつかれー」
ガチャ
「・・・え」
「お疲れ様、苗字さん」
「東堂くん!?な、何で・・・」
「迷惑がかかるから辞めようとは思ったのだが雨が酷くなって心配になったのだよ。どうせ傘を持っていないだろうと思ってな」
傘を持っていなかった私は少し黙ってしまった。それにしても、いつから待っていたんだろう。肩とか脚とか濡れちゃってる・・・
「帰ろう、苗字さん」
「う、うん」
できるだけ早く帰ってシャワーを浴びて欲しくて私はいつもより早く歩いた。3分くらいで家について、東堂くんとは別れた。
「メール、しておこう・・・」
家に帰ってすぐに東堂くんにお礼のメールを入れた。
「はぁ・・・」
私の事を心配してくれて、濡れていながらも迎えに来てくれた東堂くん。優しくされればされるほどに気になってしまう。好き、なのかな・・・分からない。けど、
「期待、しちゃうよ・・・」
今日はお風呂に入って早く寝よう。
to be continude
気付いた時には
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