「女子にアドレスを聞き出すにはどうしたらいいのだ?」

部活前。東堂からの気持ち悪い程の遠慮気味な質問に、オレと新開は制服からジャージに着替える手を止めた。

「女子の事はオレに聞けっつったのオメーだろォ?なァに人に聞いてんだヨ」
「たっ、確かにそうは言ったが!その子は何というか・・・ほ、他の女子とは違うのだよ!」
「ンだよそれ、めんどくせェ」
「ヘェ・・・尽八、そんなに苗字さんの事気になるんだ?」
「うむ・・・って、何故分かった!?」
「分からねぇワケねぇだろバァカ」

あれだけ分かり易い行動されて、分からない方がおかしい。アイツと出逢ってからの東堂は生活が変わった。毎日コンビニ行って、夜は迎え行って家まで送って、大会にまで呼んでやがる。特定の女子に特別扱いしねぇ奴が突然そんな事すりゃァ気付くだろ。

「その、最近、気になっていてな」
「あっそォ」
「さり気なく聞いてみたらどうだ?」
「オメー自分でトークが切れるとか言ってんだろォ!?その切れるトークの勢いで聞けば良いんじゃねーのォ?」
「そうなのだが・・・」

途端に恥ずかしがる東堂を、素直に気持ち悪りぃと思った。ま、特別視出来る女が出来て良かったんじゃねーの。こいつもいつまでも彼女ゼロの童貞のままじゃいられねぇからなァ。

「つーか今日は行かねぇのかヨ」
「うむ!苗字さんは今日は休みだ!」
「自信満々に言ってっけど何でオメーがシフト知ってんだヨ」
「なんだその目は!苗字さんから聞いたに決まっているだろ!!」

いつもうるせーけど、いつもよりデケェ声を出して訴える東堂。

「尽八、苗字さんの事好きなのか?」
「へ・・・す、好きではないな!」
「おーおー、よく言うぜ。毎日人連れてバイト先行って、わざわざ迎え行って家まで送って、この間のヒルクライムにも呼んでんじゃねーか」
「それは苗字さんにも巻ちゃんを紹介したかったんだよ!それに・・・」
「それに?」
「オレの活躍を見て欲しかったからだ!」

こいつこれで好きじゃねーとか言ってんのォ?本当こいつはバカだ。

「それって好きって事なんじゃねーか?」
「隼人・・・」
「ヒルクライムの大会の最後、尽八が裕介くんを抜かした時・・・あれ、苗字さんの応援が聞こえたからだろ?」
「そうだな・・・オレはあの時、今回の大会は同着だろうと思っていた。だが、苗字さんの声援が聞こえた途端に勝たなきゃダメだと思ってな・・・気付いたら巻ちゃんを抜かしていた」

その時のことを思い出しているのか、笑ったりニヤけている東堂の頭を思い切り殴った。ウゼェ。

「で?好きなのかヨ」
「そういう事になるな・・・」
「そうと決まれば、尚更聞くしかないな。オレが教えてあげられればいいんだけどさ」
「うむ、そうだな!・・・って、は?おま、隼人!?」
「オメー知ってんのかヨ!?」

新開の発言に驚くオレと東堂を他所に、新開は平然と携帯を取り出してアドレス帳を見せた。

「いつのまに・・・」
「苗字さんからいきなりアドレス聞かれてさ」
「苗字さんから!?!?」
「裕介くんと同じ"まきちゃん"の子いるだろ?あの子がオレのアドレス聞いてほしいって頼んだらしくて」
「そ、そうなのか・・・」

東堂はあからさまに嫉妬してんのが分かるくらいに、表情が歪んだ。あーあ、こりゃァもうお熱なんじゃねぇのォ?

「苗字さんに聞いてみるか?」
「・・・いや、いい。オレが直接本人に聞く」

翌日、バイトが無ぇ苗字と何処で会ったか知らねーけど、東堂は自慢気に新規登録された苗字のアドレスを見せてきた。

やっぱウゼェわ、コイツ。



to be continude


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