「え!?あの東堂様知らないの!?」
「なんで知ってんの!?てか様ってなに!?」

学校についてさっそく友人の真紀ちゃんにその事を話せば酷く驚かれた。まぁあれだけイケメンなら知らなくもないだろうけど、東堂様ってなに?

「有名じゃん、凄いイケメンだから箱学は勿論、他校にも一般人にもファンいるって」
「あー・・・ファンは納得できるかも」
「おまけに部活でもいい成績残してるみたいよ?」
「ほー・・・」

あまり興味は無い。お客様だし、挨拶する程度だし。

「今度あんたのコンビニ居座ろうかな」
「それは迷惑かなぁ。話し相手居てくれるのは有り難いけど」
「毎日来るの?東堂様」
「ほぼ毎日」
「盗撮して売り捌いたらいくら儲かるかな」
「目的そっち?」

もう一人イケメンいるよ、と教えてあげればすぐに食いつく真紀ちゃん。名前は知らないから、見た目を教えてあげればすぐに分かったみたいで。

「新開くんじゃんそれ!!うわ、いいな」
「東堂くんの時より食いつきいいね」
「当たり前じゃん。私のタイプだもん」

確かに真紀ちゃんの歴代彼氏はあのイケメン君みたいにがっちりしている人が多かった。

「暇な時コンビニ行くね」
「邪魔しないならいいよ」

HRの鐘が鳴って、真紀ちゃんと離れて席についた。



放課後。今日はバイトも無くて暇なのにこういう日に限って真紀ちゃんはバイト。少しだけ学校でゆっくり他の友達と喋ってから学校を出た。お母さん遅くなるみたいだし、仕方ないからスーパー寄って食材買って大人しく家に帰ろうと近いスーパーへの道を歩いた。

「あ」

隣の道路をビュンッと何かが通って、見てみれば前に何台かの自転車。あの形、多分今朝東堂くんが乗ってた自転車と一緒だよね?ユニフォームにも箱根学園って書いてあるし、箱学の自転車競技部かな。普通チャリってあんなにスピード出ないよね?あれ、何ていう自転車なんだろ。

「キャーッ!東堂様ァッ!」
「いつもの指差すやつやってェ〜ッ!」

少し先から女子の甲高い声がして、目を凝らしてみれば自転車に乗っているうちの一人が女の子達に指を指していた。その瞬間に黄色い悲鳴が上がった。今の東堂くんなんだ、っていうか・・・東堂様ってマジなんだ。

「凄い人と関わっちゃったなー」

その後はスーパーに寄って夕飯の食材を買って帰った。今日の夕飯はカレーライスです。



「昨日は休みだったのだな!」
「はい」

なんでこの人はバイト中に話しかけてくるんだ。他のお客様はいないけど、一応馴れ馴れしく話すのはやめておこうと思って敬語を使うも、すぐに「敬語はいらんと言っただろ!」と言われてしまった。

「東堂ォ、いつから仲良くなったワケ?」
「昨日の朝偶然苗字さんに遭遇してな!少し話したのだよ。苗字さんは箱学の裏の女子高の生徒だそうだ!ちなみに三年!」
「ヘェ」
「お前も自己紹介しろ荒北!隼人もだ!」

いやいいよ別にそんな事しなくて、とも言えずにいるとイケメンで噂の・・・新開くん?が、自己紹介をしてきた。

「オレ、新開隼人。よろしく」
「・・・苗字名前です」
「荒北もせんかね!」
「めんどくせェ・・・荒北靖友」

目つきの悪い荒北さんも自己紹介をしてくれて、二人とよろしくした。常連さんとここまで仲良くなるとは思わなかった。しかも、イケメンで有名な二人。

「そろそろ戻らねーと、フクチャンが待ってンだろーが」
「うむ、そうだな!また来るぞ、苗字さん!」
「ありがとうございましたー」

今日もいつもと同じ物を買って、彼らは部活に向かった。



「先上がりますねー!お疲れ様です」


今日は19時30分上がり。16時30分〜19時30分の時は短くて楽。ていうか大体学校のある日はこの時間帯なんだけど。コンビニの制服から学校の制服に着替えて外に出ると、またまたとある人物に遭遇した。

「む、苗字さんではないか!今バイト終わりかね?」
「あ、うん・・・東堂くん達も部活終わったの?お疲れ様」
「うむ!ありがとう!」

東堂くんと荒北くんと新開くんが、ジャージ?普段着でコンビニに入ろうとしていた。家がこの辺りなのかな。

「それじゃあ、私は帰るね」
「いや、少し待ってくれ苗字さん。隼人、飲み物を買っておいてくれ。オレは苗字さんを送ってくる」
「オーケー尽八」
「え!?いや、いいよ!!」

突然の送っていく発言に驚いた私は必死で止めるが、東堂くんは聞かない。荒北くんも新開くんも、気をつけて帰れよなんて言って辞めろとは言ってくれないし、結局送ってもらうことになってしまった。

「いつもこの時間に帰ってるから大丈夫だよ?それに、土曜はもっと遅いし」
「この時間帯よりも遅いのか!?それはならんね!女子が暗い中一人で出歩くのは危険だ!」
「大丈夫なのに・・・」

私のお母さんより心配性なんじゃないの、東堂くん。まぁ、お母さん心配性どころか放任だけど。

「すぐそこだよ」
「それでも危ないものは危ないのだよ」
「・・・分かったよ。そこ、曲がった所すぐだよ」
「・・・苗字さん。苗字さんの家は箱学の近くなのか?」
「うん」

私の住んでいるマンションは、箱学の斜め前にある。引っ越してから、こんなに近くに高校があるなら箱学にすれば良かったなんて後悔したっけ。

「ここだよ」
「・・・む、やはり近いな」
「何が?箱学?」
「いや、それもそうだが・・・」
「あれ?まだ送ってなかったのか?尽八」
「オレら先帰ってっから、門限過ぎンなよ」

・・・ん?今裏道入ってったよね?そこって確か箱学の・・・

「偶然だな苗字さん。どうやらオレ達は御近所らしい」

東堂くんと荒北くんと新開くんは寮通いで、ご近所さんだった。



to be continude


近いんですね
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