嘘だ、勘弁してくれ。
風呂は・・・風呂だけは。


「ほら、お風呂入るよ」

「にゃあぁあ(やめろー!!)」

「抵抗しないの!」


抵抗するも、猫が人間の力に叶うはずが無かった。どうする、俺。


「っ痛!」

「っ!!」


すまん!!俺とした事が好きな女子の身体を傷つけて・・・また抵抗すると名前の身体が傷付いてしまうかもしれない。それより傷は大丈夫なのか?


「大丈夫だよ。・・・でもお風呂は入ろうね」


脱衣所に連れてかれ「ぱちはここで待っててね」と言って服を脱ぎ始める名前。俺は咄嗟に視線を脱衣所の扉に向けてみないようにするのに必死だった。先に風呂に入っている名前の事も考えると尽八の尽八が反応してしまう。


ガラッ


「ぱち、お風呂だよー」


うわぁああああやめろ!!肌にくっつけるな!!!離されたと思ったら、シャワーを当てられ、身体を洗われて湯船に入れられた。


「暖かいでしょ?」

「にゃ・・・」


まあ、風呂は好きだからな。だがしかし近い。近すぎではないか?


「まあ、ぱちは嫌いみたいだし早く上がろうか!」


その後も俺の戦いは暫く続いた。






「連絡、こないなあ・・・」


名前は風呂上がりからずっと携帯を気にしていた。最初は、誰からの連絡を待っているのか嫉妬したが


相手は俺だった。


そう、俺は毎週休みになると必ず夜に名前に電話をかけていた。いつも嫌々という態度だったのだが・・・こうやって待っていてくれたのかと思うと、嬉しくなる。しかしいまの俺には電話をかけてあげることはできない。


「にゃ・・・」

「?ぱち?・・・心配してくれてるの?」


名前に向かって鳴けば、嬉しそうな顔をする。


「今日は諦めて寝よう。ぱちも一緒に寝ようか」


初めて入る名前の寝室に俺の心臓は爆発しそうだった。それに増して名前は俺を抱き締めながら眠りにつこうとしている。いや、もう眠っているのか?


「・・・じん、ぱち・・・」

「っ!」


名前の件もそうだが、電話といい寝言といい・・・期待、してもいいのか?





お風呂という名の戦場
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