「綺麗・・・」


美術館で手に入れてきた刀をベッドに寝転がりながら眺めていると、隣に尽八が座る。尽八も新しい刀を手に入れて若干嬉しそうだ。


「二度とあんな場面、見たく無いからな。刀ならそう簡単には折れんだろう」

「うん、そうだね」


今日は一日、美術館に行って無事に刀を持ってきたあとに近くのスーパーで駄目になっていない食糧をとってきた。アンデッドは街の方に進めば進むほど増えていた。きっと、奴らは街の方で集まっているのだろう。泉田が潜ってとった魚は10匹程度で少なく、また明日も魚と食糧を集めることになった。


「泉田、疲れてるよね絶対」

「そうだろうな。明日はオレ達も手伝う事になった」

「え、私は泳げないからやらないよ」

「やらせるわけないだろ!!」






翌日、さっそく食糧を集める為にホテルを朝早くから出た。少し遠くにいるアンデッドを呼び出さない為にも銃は使わずに素手か刃物でアンデッドを始末して静かに行動した。ガソリンの節約の為にできるだけ徒歩で行ける距離の海。そこで潜って魚を探した。私とみょーじ@と幹ちゃんは近場のコンビニやスーパーで食糧を探した。畑も探してみたけど、枯れていたり虫に食われたりしていてまともに食べられるものは限られていた。


「こうなると、限られるね」

「人数も多いからね」

「あの、気になったんですけど・・・なまえ@さん達は何のために本社に向かっているんですか?」


幹ちゃんの質問に私とみょーじ@は黙ってしまった。こんな純粋な女の子に潰しに行きますなんて、言えるわけない。


「・・・やらなきゃいけないことがあるの」

「やらなきゃいけないこと・・・?それが・・・それが終わったらこれからどうするんですか?」

「終わったら・・・考えた事もないや」


生きて帰ってこれるかも分からないのに、先を考えた事なんて無い。先のことか・・・前みたいに、皆と幸せに暮らせていけたら幸せなんだけど。けど、外は地獄だし。


「もし・・・なにも決めていないのなら、私達と一緒に生存者を集めて暮らしていきませんか!?」

「え・・・」

「私、なまえ@さんやなまえAさん達と暮らしたいです!」

「幹ちゃん・・・」


そんな事言われたら、私だってそうしたくなっちゃう。生きて、帰らなければならない理由が出来てしまう。


「・・・うん、そうだね」


生きることを諦めずに、この子と前を見て歩いていくのもいいかもしれない。


「戻ろっか」


なまえAに言われて畑を後にする。もしも生きて帰ってこれるのなら、食料が作れる環境も作りたいな。





「結構取れたから食う?」

「食べる」

「今日と明日くらいしかかもたないだろうからさ、食えよ」

「新開食べ過ぎじゃない?」

「隼人!口の中のものを無くしてから喋れ!」


戻ってみれば、尽八と荒北と新開が並んで魚を焼いて食べていた。新開に至っては両手に新しい魚。口の中にはいっぱいの魚。


「あついですね〜」

「テメェ真波、どこでサボってやがった」

「あははっ、あ、魚とれたんですか?」

「真波、お前も早く食え。あまり長居するとアンデッドが集まってくるかもしれんからな」

「フクちゃんと泉田呼んでこい」

「分かりましたー」


真波は焼き魚を一匹受け取ってから、福富と泉田を呼びに行った。他の潜っていた生存者達はバテて寝転がっている。これは暫く食べれないんだろうな。


「美味しい!魚は感染してなくて良かった」

「いつ感染するか分からないからな・・・今日が最後の魚になるかもしれないぜ?」

「やめて新開、幹ちゃん悲しんでる」


そのあと、福富と泉田と他の生存者達を連れてホテルに戻った。途中アンデッドに出くわしたが、何の被害もなく戻って来れた。明日からまた、車での移動が始まる。


「刀は毎日拭かないと血がついたままでは切れ味が悪くなってしまうぞ」

「はーい」


今日さっそくアンデッドを斬った為に刃に付着している血痕。それを綺麗に拭き取る。


「尽八・・・今日、幹ちゃんと話してたんだけどね。尽八は本社を潰したら、この先何をしたい?」

「この先・・・?考えたこともないな。生きて帰ってこれるかも分からないのに、未来の話をしていいものかも分からんよ」

「私もそう思った!幹ちゃんはね、私達と暮らしたいんだって。色んな生存者達を集めて、皆で暮らしながら元の世界に戻せたらいいなって言ってた」

「・・・そんな未来があったらいいな」



to be continude


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