「・・・」
「・・・」
気不味い、非常に気不味い。
無事に帰還した私達は、さっそく小野田君の葬儀をして一日ぶりの食事をとってそれぞれ休もうということになった・・・まではいい。個室は勿論用意されていなくて、いつものように休憩室で眠ることになっていたのだが、一部屋四人までしか眠れない部屋に何故かいつも一緒に眠っているはずのなまえAが私とじゃなくて荒北と!!荒北と一緒に寝ている。(新開と福富も)どういうこと?いつからデキてるの?いや、前からお互い好意を寄せているのは分かっていたけど、この短時間で一体なにがあったの。
・・・ってそうじゃない、つまり、私が言いたいのは。
何故私は休憩室に尽八とふたりきりで寝ているのかということ。
しかも、ずっと無言。いつもの尽八ならウザいくらいに話しかけてくるのに、あの事があってから尽八は一度も私に話しかけて来ない。尽八が何故話しかけてこないかなんて分かっている。けどなんて言っていいか分からない。・・・謝れば、いいんだよね。
「尽八・・・」
「・・・」
え、無視?
「ねぇ、尽八」
「・・・」
・・・さすがの私だって、無視され続けたら泣けるよ。それだけじゃない、尽八は立ち上がって部屋から出て行こうとした。そんなに怒っていたのか、こんなことは初めてだった。一瞬唖然としたがすぐにこのままではいけないと思って咄嗟に尽八の腕を掴んだ。結構、やばい。涙でそう
「待ってよ!」
「・・・何だ」
冷たくて、棘のある声で返事をする尽八。必死に泣くのを耐えて声を出す。
「心配かけて、ごめん」
「ああ、そうだな」
「・・・助けてくれて、ありがとう」
「別に」
尽八は私を一度も見ようとしない。それだけ言って私の腕を振り払ってドアノブに手をかけた。
「待っ・・・っつ」
「!!大じょ・・・」
「・・・、捕まえた」
尽八を追いかけようとして力を入れた途端に鳩尾が痛んでその場に前屈みになった。異変に気付いた尽八が咄嗟に駆け寄って来てくれたところを、尽八の両腕を正面から掴んで逃げられないように力を込める。
「・・・お前、俺が何で怒ってるのか分かっているのか?」
「分かってる」
「俺がどれだけ心配したかも、頭にきたかも、お前には分からないだろ?」
「ごめん」
「ごめんで済む話じゃねぇよ!!俺達が気付かなかったらどうなってたか考えてみろ!!」
「・・・うん」
いつもと違って、荒くなった口調。相当怒っている。
「だいたい、お前はいつも無茶をし過ぎだ!毎回俺がどれだけ心配してるか・・・」
私は怒鳴る尽八の背中に腕を回した。途端に黙る尽八。
「・・・ありがとう、ごめんね、いつも心配かけて」
「・・・っ、俺は・・・なまえ@が大切なんだ・・・好き、だからな」
「わ、わたしも・・・好きだよ・・・前から、ずっと」
説教されていたはずなのに、いきなり告白タイムになって何故か尽八に抱きしめられた。恥ずかしくてどうすればいいか分からない。
「両想い、でいいのか?」
「そうみたい・・・」
しばらく固まったまま、どうしていいか分からずに硬い表情のまま見つめあって・・・吹き出してしまった。二人同時に。
「これで堂々となまえ@を護れるぞ」
「前から私の前ウロチョロしてたじゃん」
「ウロチョロとはなんだ!」
「・・・護ってくれてありがとう」
「!・・・ーーああ」
あのあと、疲れが溜まっていたのもあって私達は夕方までぐっすり眠っていた。気付けば皆も起きたらしく、隣の部屋には誰もいなくて、いつもの部屋に戻ってみれば皆に冷やかされた。
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