※ 暴力・軽い性的描写があります。苦手な方はご注意下さい。
なまえA side
「あの・・・」
「どうしたの?」
なまえ@と銃の整備をしていると、一番最初に救助できた五人の内の二人の女の子が私達の前に来て、初めて話しかけてきた。
「わ、私達の寝る場所、変えてもらってもいいですか?なにか部屋とか・・・この空間にいたくないんです」
「・・・残念ながら、部屋と言っていい部屋は無いの」
「更衣室とシャワー室とトイレと、あとあそこの小部屋と倉庫くらいしかないけど・・・。更衣室は一応片付けたけど少し汚いし人も通るし何より一番アンデッドに襲われやすい。小部屋は年配の方に使ってもらいたいし、シャワー室とトイレは利用するひとがいるから・・・残りは倉庫だけ」
「あの、鍵って、つけられますか?」
「・・・ねえ、聞いていいか分からないけど。あの男達に何かされていたの?」
私の質問にビクリと肩を震わせる二人。その反応は肯定とみていいだろう。私がチラリとなまえ@を見れば、なまえ@も私と同じ事を思ったのだろう、タイミング良く目が合った。すると、静かに泣き出してしまう二人。私達は移動して話すことになった。
「私達っ、あの男達に助けられて音楽室に逃げたんですっ、そこはアンデッドから逃げられて安全だったけど、でも・・・あの男達に襲われましたっ」
「逃げるにしても、部屋から出られないからっ、逃げられなくて」
「抵抗するとお腹を蹴ったり、殴ったり・・・っ」
女の子は自身のお腹に出来た痣を私達に見せた。数カ所に赤黒く痣ができているのが分かる。
「私達、避難してもあの男達と同じ空間に居なきゃいけないんですか!?嫌です!!置いていく事は出来ないんですか!?」
「・・・それは無理。直接的な証拠は無いし、それを見せても奴らがやったなんて証拠にはならない」
「そんなぁ・・・っ」
泣き崩れる二人。困ったものだ。避難所に預けても避難所はそんなにいい場所というわけではないので一人一人に部屋が与えられるなんてことはない。普通に広間に布団を敷いて、皆一緒に暮らさなければならない。・・・しかしそれは彼女達にとってかなりのストレスになる。このままいけば自殺しかねない。
「・・・一つだけ、方法はある」
「!ちょっと待って、なまえA。私と同じ事考えてるなら、なまえAにはやってほしくないんだけど」
珍しくなまえ@が鋭い目で私を見た。この子は本当に私に対して過保護過ぎて困る。私だって出来ればこんな事はしたくないが、同じ女としては放っておけない。それはきっとなまえ@も同じだろう。私は彼女達に向き直る。
「取り敢えず今夜は倉庫で眠って。あとは何とかするから」
「っありがとうございます!!」
倉庫に案内すると、内側から鍵をかけるように指示して私達は更衣室へ向かった。作戦を、たてるために。
荒北 side
「アンブレア社って、女の人もいるんですね」
「あ?」
俺と東堂、新開で明日からの事を話してたらいつの間にか側まで来て馴れ馴れしく話しかけてくる男三人組。こいつらは確か、最初に見つけたグループの一部。
「俺、最初に見たとき吃驚しちゃいました。やっぱり、強いんですか?」
「どっちの方が強いんですか?」
めんどくせー。馴れ馴れしいンダヨ。ここは東堂にでも任せるかと東堂を見たが、東堂も若干嫌そうな顔をしている。こいつがそんな顔をするなんて、珍しい。代わりに新開が適当に返事をすれば、男達は去って行った。・・・匂うな、あいつら
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