銃声の音で集まったアンデッド達が階段を降りてきている。上手く降りられないアンデッドは転がり落ちているけど。それを始末しながら階段を上がった。上にはもうアンデッドはほとんどいなかった。
「四階には音楽室と準備室と図書室しかないみたいね」
「考えられるなら音楽室だろう。防音の為に扉が重い場合もある」
「音楽室はこことは反対側ね。先に図書室と準備室を確認する?」
「ああ、そうしよう」
手前にある図書室を確認するために、慎重に扉を開けた。中はシーンとしていて、物音一つ聞こえない。扉も閉められていたし、アンデッドは入っていないだろう。
「そろそろヤバイッショ、時間」
「早くしねーと小野田もヤベーぞ」
図書室はあまり確認せずに、準備室も狭かった為にすぐに確認をやめて音楽室へ行った。
「・・・鍵がかかってる」
「おい!!誰かいねぇのか!?」
田所がドンドン扉を叩くも返事がない。しかし暫くすると、静かに鍵が空いた。
「どこかの軍隊の方ですか!?」
「アンブレラ社です。救出しに来ました」
中には五人。生気を失ったような女の人が二人と、男が三人。女性の様子がおかしい。
「大丈夫ですか?」
「ひぃ・・・!!!」
「すみません、ずっと恐怖の中にいたので可笑しくなってしまったみたいで」
声をかけて肩に触れられただけで身体が跳ねて驚いて私の手を振り払った女性。・・・そして、偶然見えた手首の痣。
「フクチャン、こいつら俺達がアンブレラ社って知らなかったって事は救出要請出したのはあっちの校舎なんじゃなァイ?」
「うむ、俺もそう思うぞ フク」
「・・・小野田の容態も気になる。金城達はどこか安全な場所で奴らと待っていてくれるか」
「そうだな、俺の班からも応援を出す。田所行けるか?」
「おう」
「真波は小野田を出来るだけ楽にしてやってくれ」
「分かりました」
「安全な場所を見つけたら連絡してくれ。行くぞ」
動けない小野田君をこれ以上連れまわすわけにも行かず、金城班には待っててもらって私達だけが次の校舎へ行くことになった。時刻は15時50分。いくら夏場で日が沈むのが遅いからと言ってこれ以上ゆっくりしていられない。
「またスゲェ荒れ方だな」
「こっちの方が酷いんじゃない?」
先ほどの校舎よりも荒れた状態だった。私達は急いで教室を確認して上に向かう。
「なかなか見つからないですね、アンデッドも人間も」
「・・・いや、ここにはいるけどなァ?ウジャウジャと」
鼻を効かせた荒北はチラッと上を見た。
「ここの校舎の三階には広間があって、その前に視聴覚室がある」
「あー・・・じゃあそこにウジャウジャいるかもね、アンデッド」
「行ってみるしかねーだろ」
二階をざっと見て急いで三階へ向かった私達は驚いた。広間にはたくさんのアンデッドがいて、視聴覚室の扉に群がっていた。もしもそこに人間がいたとしたら、見なくても人間がいるというのが奴らには分かるのか。
「めんどくせーからやりたくねーンだけど」
「我儘を言うな荒北。俺だって顔が汚れそうで嫌だ」
「私だって身体が汚れそうで嫌だ」
「いいから早く準備しなよ」
「あ、気付かれちまったな」
一体のアンデッドが此方に気付いて何か唸ると、他のアンデッドも気付いて一斉に此方に向かってきた。
「戦闘は荒北、東堂、泉田、田所!俺と新開、みょーじAとみょーじ@は援護だ!!」
荒北、尽八、泉田、田所は一斉に動き出した。次々に敵を始末して行く三人、そして私達は殺し損ねたアンデッドと死角を狙ってくるアンデッドを始末する。援護ではダントツで新開が上手だった。さすが銃の使い手。なまえAもなかなかだけど。
「骨のある奴はいねーのォ!?」
「荒北!!近くで叫ぶな!!うるさいぞ!!」
「オメーもうるせーヨ!!!」
流石、荒北と尽八。こんなとろでも言い合いを始めだす。気づけばあっという間にアンデッドの屍の山ができていた。
コンコンッ
「アンブレラ社だ、救出しに来た」
福富が律儀にノックしてそう話しかけると、すぐに鍵が空いて安堵の表情をした人間が顔を覗かせた。
「ありがとうございます!!!」
中には十人くらいの老若男女がいた。部外の人間もここに逃げて来たんだろう。
ザザッ
『福富、聞こえるか』
「金城、安全な場所は見つかったか?」
『一応先程の水泳場に来ている。ここなら扉も頑丈だ。今日はもう遅い、そろそろ奴らが動き出す時間だ。ここで一晩過ごそう、シャワーもある』
「俺もそう考えていたところだ。今から戻る」
話を聞いていた通り、私達は一晩水泳場で過ごすことになった。救出を依頼していた人達は激怒していたが、今から出たら生存率は低くなる。
「福富、そこ寄っていいか?」
「・・・ああ、好きなだけ見てくればいい」
田所が指差した場所は・・・保健室。小野田君の為だろう。あるだけの薬と、布団を持って私達は水泳場に向かった。
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