なまえA side



市民達は無事に避難所へ送りとどけた。しかしアンデッドの数は増すばかり。昨晩、恋人を失った新開は元気が無い。食欲も無いらしく、朝食もあまり食べていなかった。

このあと私達はまた、市民の救出に行かなければならない。


「隼人」

「気分がのらねーなら、俺達だけで行くけどォ?」

「尽八、靖友・・・大丈夫だ」


大丈夫って顔してないけどね。

結局、新開も連れて市民の救出に向かう事になった。


「今日はバス一台なの?」

「・・・多分、死んでいるのを予測して荷物は減らしてきてるのかもね」

「あー・・・成る程」


今日は一班と二班の車と、ワゴン車のみ。道路は横転している車や止まっている車で塞がれて狭い道がたくさんある。その中でバスで向かうのは大変だからだろう。アンデッドもウロウロしているし。

帰ってきた社の前には、いつのまにか簡単に塀ができていた。隊員も沢山亡くなったと聞いたから、人数が足りなくなってきた・・・ということが考えられる。


「今日の上からの命は、大学に避難している人間を助けることだ」


市民から人間・・・になったのね。今じゃ生きている人間は少ないからといったところか。


「おいおいフクチャン、今日は大学だけでいいのォ?」

「それだけ大変ってこと?」

「いや・・・そこからしか、救助要請がきていないからだ」

「他は全滅って事か?」

「電気が使えるところなんて限られてる。連絡がとれないだけで、助けを待ってる人もいるんじゃない?」


なまえ@の言う通り、大半はそんな人間ばかりだろう。しかし、上はそれを私達にいかせない。きっと、失いたくないからだ。・・・貴重な人材を。


「それには他の隊員が向かっているらしい。まずは俺達の任務が優先だ」

「オッケー 寿一」


話していれば、あっという間に大学に到着した。大学となると、高校とは比べものにならないくらい敷地内は広い。アンデッドも人間も沢山いるだろう。


「みょーじA、地図を出せるか」

「もう出してある」

「大学のどこに身を隠してるとか分からないの?」

「聞いてないらしい」


私は画面をみんなに見せる。敷地内は円状になっていて、左側に体育館、水泳場、部室などがある。右側には四階建ての校舎が二つ。


「まずはここの正門を締めた方が良さそう。重そうだし、結構高いから他からの侵入はないと思う。この敷地内だけで何体アンデッドがいるか分からないけど」


新開、田所、金城、福富が正門を締めてチェーンをかけた。


「別れた方がいいかもしれないけど・・・逆に沢山人間を保護した時に、それを護りながら逃げるのは危険過ぎる」

「一つ一つ全員で回らなきゃダメってことかよ?」

「仕方ねぇだろ」

「俺達は強い」


全員でまとまって、人間を探すことになった。部室はアンデッドも人間もいなかった。そして次は体育館。


「鍵閉まってるぞ」

「外側から鍵が閉められてるということは、中はアンデッドがいる可能性が高いな」

「上から見て見よう。巻島、鳴子、今泉頼む」


金城の言葉で、巻島と鳴子と今泉は裏の外階段から上に上がってガラス張りになっている部分から体育館の中を見る。


「あかん、って言ってますね、鳴子くん」


つまり、中はアンデッドがいるって事。私達は体育館を避けて、水泳場に入ることになった。





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