『今夜は高速を出たところで一晩過ごすぞ』
高速道路を出れば大体近くにホテルがある。一番近いホテルを見つけて其処に車を停めた。
「これ全部チェックしたらぜってーめんどくせェな」
「一階のフロアと二階の部屋だけ利用して、あとは封鎖しておけばいい」
「さすがフクだな。では、オレと荒北と隼人で確認をしてくるぞ」
「頼む」
安全確認をしに行った靖友と東堂と新開。残りの私達は見張りだろう。一応車を入り口を塞ぐような形で停めてある。
「視線が痛いね」
「・・・気にしない方がいいと思うけど」
なまえ@の言う通り、他の生存者からの視線が痛かった。仲間を殺されてしまったからだろう。しかしあれは噛まれたのだから仕方が無い。・・・と言っても通じないだろうけど。
「この人数じゃあ、食料も直ぐに減っちゃうんだろうな」
「また補給が必要だから、明日出発する前に行かないとね」
「うん」
暫くして、靖友達が戻ってきて中のアンデッドを倒し二階の階段を封鎖したので私達も荷物を持って中に入った。中はそんなに荒れてはいないが、血の痕が壁に飛び散ったりしている状態。
「オレはキッチンを見てくるよ」
「僕も行きます!新開さん!」
泉田と新開はキッチンへと行ってしまった。
「二階の部屋は六部屋しかなかったヨ、福チャン」
「そうか。オレ達だけならいいが他にもいる。後で分担するぞ」
「明日は食料補給に行くか?フク」
「ガソリンの補給もしないと無いですよ、東堂さん」
計画を立てなきゃいけないな、と考えて私はなまえ@と生存者達を連れて二階へ上がった。
「あなた達に良い待遇ばかりするわけにはいかないので、部屋は三部屋だけでいいですか?」
「部屋を用意してくれていただけありがたいです、ありがとうございます」
「そうですか。食料はこれです」
人数分のカップ麺を生存者達の目の前にダンボールに詰めて置いた。
「水はまだ出るはずなのでこれでお湯を沸かしてください」
ガスが入っているコンロとやかんを渡して、私となまえ@は下に降りた。
「・・・あの子、しっかりしてるよね」
「なまえ@よりしっかりしてるね」
「それは酷い」
階段を降りて靖友達の所に戻れば、キッチンに行っていた新開と泉田も戻ってきていた。
「キッチンには何も無かったぜ、寿一。あったとしても電気が通ってないから腐ってたよ」
「ガスはありました」
フロントの椅子に男六人が座って私となまえ@は壁に寄りかかって話を聞いていた。座るか聞かれたが今日は特に何もしていないから、運転や見回りをした靖友達に座っていてほしいので断った。
「つーかよォ、フクチャン」
「何だ」
「車、あのままだとヤバイんじゃナァイ?アンデッドに囲まれてガラス割られたら終わりだろォ」
「それはオレも同感だな、フク。鉄格子をつけるなどした方がいいだろう」
「・・・明日は一日足りない物と必要な物の補給をするぞ。バスを見つけたら運んでくれ。小型で構わん」
「オーケー、寿一」
「わーったヨ、フクチャン」
「あの、少しだけ・・・いいですか?」
翌日、物資を集める為に外へ出る支度をしている時だった。生存者の中のリーダー的位置にいたあの女の子が私達に話しかけてきた。
「私達、お世話になっているのに何もせずに留守番しているなんて出来ません。お手伝いさせてください」
「・・・どーするー?福富」
少しだけ考えた後に、なまえ@が福富にどうするかと聞いた。福富は少し黙ったあとに「好きにしろ」と言って車の方へ行ってしまった。
「・・・それじゃあ、あなたは私達と一緒に食料補給を手伝って。他の人はあの金髪の男達と一緒に物資を集めて来て」
そう言うと動き出す生存者達。支度をし、それぞれ別の場所へと向かった。
「行くよなまえ@」
「武器はこのくらいでいいよね、昼間はアンデッドも暑さにやられてバテてるでしょ」
「どうだろうね、死んでるから」
車に乗って、一番近くのスーパーに向かった。小さめのスーパーなので、そこまで食料はないだろうけど、危険は少ない。
「ここは安全を考えて音たてずにやるから、待ってて」
なまえ@が車から出て行って、ゆっくりアンデッドに近づき体術とナイフでアンデッドを始末する。数体始末した後に、中をチェックして戻って来たなまえ@に大きいバッグを渡して私達も外へ出た。
「そういえば・・・名前、聞いてなかったよね?」
「私、ですか?」
「名前、なんていうの?」
「寒咲幹です」
「幹ちゃんね・・・二十歳くらい?」
「二十一歳です」
彼女・・・幹ちゃんと会話をしながらスーパーの中に入って食べられる物を物色する。この辺りに住んでいた生存者が持って行ったのだろう。
「あるだけ集めて、早く帰ろう」
「そうだね」
「そうですね」
三人でインスタント物や飲み物をあるだけバッグに詰めて、急いでホテルに戻った。思ったより無かったから、これをホテルに置いたら、また他の場所に行かないと。
to be continude
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